持ち直しシナリオはソフト路線への転換

 国会議員数で1位、2位の派閥は実質的には安倍派である細田派と、安倍氏の盟友といわれる麻生太郎副総理・財務相が率いる麻生派です。安倍氏を支えこそすれ、安倍降ろしを主導する可能性はなさそうです。

 安倍氏の対抗馬として、しばしば名前が挙がるのが石破茂前地方創生相ですが、石破氏の派閥は19名と少人数です。安倍降ろしを主導するのには力不足と思われます。このように、強力なライバルがいないことも、早期退陣が難しいと考える理由です。

 3つ目は野党の不人気です。もし今自民党に代わって政権を任せられる党があれば、国民の間で政権交代を求める声が高まるでしょう。そうなれば自民党内でも、「早期に安倍氏を交代させて、新首相(新総裁)の下で党勢の回復を図るべき」という声が強まるかもしれません。

 しかし実際には安倍氏や自民党の支持率が低下しても、野党第1党の民進党の支持率は低迷したままで、政権交代を求める声は盛り上がりません。この野党の不人気も、早期退陣が難しいと考える理由です。

 以上の3つの理由で、早期退陣シナリオの可能性は低いと見ています。ただし可能性のある早期退陣シナリオが1つだけあります。「憲法改正を巡って安倍氏への反発が強まる」といったものですが、このシナリオについては次の持ち直しシナリオでコメントします。

 今回の支持率低下は安倍氏の政策への批判でなく、政権のおごりへの批判によるものです。具体的には国会でのなおざりな答弁、テロ等準備罪法案の審議で見せた強引な国会運営、相次ぐ閣僚の失言などへの批判です。

 こういった点が支持率低下の理由であれば、安倍氏がこうした点を反省し、丁寧な答弁や国会運営を心掛け、失言の多い閣僚を交代させるなどすれば、支持率は徐々に持ち直すと考えられます。いわば「強硬路線」から「ソフト路線」への転換ですが、これが持ち直しシナリオです。

 ちなみに7月24日の衆院の閉会中審査の中継を見た知人は、安倍氏について「はぐらかすようなところはあったが、応答は丁寧にで、今までに比べればよかった」と評価していました。この調子なら、持ち直しシナリオが期待できるかもしれません。