安倍内閣の支持率は急速に低下しているが…(写真:ロイター/アフロ)
安倍内閣の支持率は急速に低下しているが…(写真:ロイター/アフロ)

 安倍晋三内閣の支持率低下が止まりません。中には毎日新聞や時事通信など支持率が30%を割り込んだ世論調査もあります。

 株式市場は今のところ支持率低下にあまり反応していませんが、もし安倍氏の早期退陣が現実味を帯びてくることがあれば、影響が大きくなることも考えらえられます。今回は今後想定される政治シナリオと、その株式市場への影響について考えてみました。

図:安倍内閣の支持率の推移(第2次安倍内閣以降)
図:安倍内閣の支持率の推移(第2次安倍内閣以降)
出所:日本経済新聞、日経リサーチ
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 まず今後の政治シナリオの動きについて、3つのシナリオを考えてみたので、これを説明します。a. 早期退陣シナリオ、b.持ち直しシナリオ、c.低空飛行シナリオ、の3つです。

 これだけ支持率が下がると退陣が近いように見えますが、意外に難しいのが早期退陣シナリオです。難しいと考える理由は3つあります。1つは当面国政選挙がないことです。

 今すぐ衆院選か参院選があれば自民党が大敗、安倍氏は退陣となる可能性は高いでしょう。また、選挙を待たずして自民党内で安倍降ろしが強まり、退陣を余儀なくされることもあり得ます。

 しかし、次回の衆院選は2018年12月までに行えばよく、参院選は2019年の予定です。これでは自民党内で早期に安倍降ろしが強まるとは思えません。国政選挙がしばらくないことが、早期退陣は難しいと考える理由の1つです。

 2つ目の理由は。自民党内に安倍氏を脅かす強力なライバルがいないことです。もしそうしたライバルがいれば、この機会に安倍降ろしを仕掛け、今頃もう首相になっていたかもしれませんが、今の自民党にそうした人物は見当たりません。

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