最後は韓国の朴槿恵(パク・クネ)前大統領を取り上げます。パク氏の友人が国政に介入しているとの疑惑が浮上したのは2016年10月末のことでしたが、そこから事態は急速に進みます。
街頭ではパク氏の退陣を求める大規模デモが連日繰り返され、12月9日には国会が弾劾訴追案を決議。更に3月10日には憲法裁判所がパク氏の罷免を決定することにより、パク氏は失職します。あっという間の出来事でした。
この大統領弾劾の動きに対し、当初韓国株は下落で応じました。しかし、12月初めには早くも上昇に転じました。これはルセフ氏のケースと同様に新政権への期待感によるものと考えています。
カギを握るの大統領の人気
ここまで大統領弾劾に関する3つの事例を紹介しました。ウォーターゲート事件は株式市場にマイナスとなりましたが、ルセフ氏とパク氏の場合は当初マイナスだったものの、途中からはプラスとなりました。この違いについて考えてみます。
ポイントは大統領に対する評価や人気です。ニクソン氏は東西冷戦の緊張緩和やベトナム戦争からの撤退に向けた地ならしなど外交面で実績を挙げ、人気の高い大統領でした。1972年の大統領選では大差で再選されています。
一方ルセフ氏やパク氏の大統領としての評価は元々高いものではありませんでした。ルセル氏1期目の段階で景気の低迷や公共料金の引き上げなどが非難され、既に支持率は低い水準にありました。2014年の大統領選では何とか再選は果たしましたが、きわめて僅差での勝利でした。
パク氏もやはり景気の低迷、特に若年層の雇用難について非難されており、こちらも支持率は低い水準にありました。
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