この間のブラジル株式の動きを見てみます。2015年から16年の初めにかけて、ブラジルのボベスパ指数は下落しました。ルセフ氏に対する弾劾により政治が機能不全に陥ることなどを投資家が警戒したためです。
しかし2015年12月に弾劾手続きが開始されましたが、ボベスパ指数は16年1月に上昇に転じました。これは何故でしょうか。弾劾手続き開始にもかかわらず株価が上昇した理由については以下のように考えています。
当初投資家はルセフ氏が国民の支持を取り戻し、政権を安定的に運営することを望んでいたと思います。そのため、反ルセフの声が高まるに連れ、株式市場は下落しました。
しかし、反ルセフの声は高まるばかりで、ルセフ氏下での政治の安定を期待するのはもはや不可能です。ここに至って投資家はルセフ氏に期待するよりも、早期にルセフ政権が終わって、次期政権に期待する方がよいと、判断を変えたと思います。
これが弾劾手続き開始にもかかわらずブラジル株が上昇した理由です。弾劾手続き開始はルセフ退陣に向けた第1歩と評価されたことになります。この後も弾劾手続きが進むに連れて、ブラジル株は上昇しました。
ブラジル株、新興国の中でも突出した上昇
なお2015年はブラジルのみならず新興国株や通貨が全般に弱く、2016年は逆に持ち直した年でした。こうした投資家の新興国に対する見方の変化も、2015年から16年にかけてのブラジル株に影響しました。
しかし、2016年のブラジル株の上昇は新興国の中でも突出しています。ボベスパ指数の上昇率は39%、BRICs4ヵ国の中で最高です(2位はロシアMICEXの27%、インドのSENSEXは2%。上海総合は下落)。
この点を踏まえて、2016年のブラジル株高を演出したのは、海外要因よりも国内要因、ルセフ氏の退陣と新政権への期待感だったと考えています。
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