この期間の米国株式に大きな影響を与えた要因はもう1つあります。1973年10月の第4次中東戦争勃発と第1次石油危機の発生です。その結果、1973年11月に米景気は後退局面に陥りました。この景気後退は1975年まで続きます。
当初自分はこの間の米国株安は大半が中東戦争や石油危機によるもので、ウォーターゲート事件の影響は小さいと見ていました。しかし、今は見解を修正し、両者が共に影響したと考えています。
1973年1月の高値から74年10月の安値までS&P500は48%下落しました。政治スキャンダルだけで株価がこれほど下落することはまずあり得ません。この点については石油危機で米景気が後退局面入りしたことが主因と見ています。
一方、この間の米国株の動きは見事なまでにウォーターゲート事件の展開と一致しています。ニクソン氏の辞任後に株価が下げ止まったのも、「これで政治が正常化し、景気やインフレ対策に集中できる」との安心感が理由でしょう。このように節目節目で株式市場の方向性を決めたのはウォーターゲート事件です。
以上を踏まえて、この間の米国株の動きにはウォーターゲート事件と中東戦争や石油危機の両者が影響したと考えています。両者の役割については、前者が市場の方向性を決め、後者が株価下落の大きさを決めたということになります。
弾劾開始でブラジル株が反発した理由
次はブラジルのジルマ・ルセフ前大統領です。ルセフ氏は2014年10月の大統領選で再選を果たしましたが、景気低迷や不正会計疑惑などから、国民の支持を失っていきました。2015年3月には主要都市でルセフ氏の退陣を求める大規模デモが発生。その後もデモは繰り返され、大統領弾劾を求める声が高まりました。
こうした中、2015年12月に弾劾手続きが開始され、16年4月には下院が弾劾を承認しました。更に8月に上院がルセフ氏の弾劾を可決したことにより、ルセフ氏は大統領を失職することになりました。
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