年初から下落した日経平均は、2月中旬に下げ止まりました。ただし反発力は乏しく1万6000~1万7000円を中心とした狭いレンジでの動きが続いています。

 そうした中、いつものように一部の市場関係者から政策の出動を求める声が高まっていますが、これまでに比べて広がりは今一つ。また政策に関連する材料への市場の反応も鈍いようです。日本の株式市場は政策離れを始めたのか? 今回はこの点について考えてみます。

(図表1)日経平均の推移(日次、円)
(図表1)日経平均の推移(日次、円)
出所:ブルームバーグより大和住銀投信投資顧問作成

政策発動に冷ややかな投資家たち

 前述のように、一部の市場参加者、特に証券会社のストラテジストの間で政府に政策発動を求める声が高まっています。そこで具体的に挙げられている政策の3本柱は、消費増税の延期(または凍結)、財政出動、追加緩和。これに円売り介入と衆参同日選を追加する向きもあります。

 しかし、これまでに比べると、こうした声の広がりは今一つ。政策関連の材料に対する株式市場の反応もいつもほどではありません。多くの投資家は政策発動を求める声や政府の動きを冷ややかに見つめているとの印象です。そうした雰囲気を示す例として、政策がらみの材料に市場が反応しなかったケースを紹介します。

 例えば5月14日に日本経済新聞が「首相、消費増税先送り」と題する記事を1面に掲載しました。私自身は消費増税の先送りに反対ですが、この記事を見た時は「これで消費増税延期は決まり、週明けの日本株は上昇」と思いました。

 しかし、週明け16日の株式市場の反応は違いました。日経平均は一時、前営業日比200円以上上昇したものの、引けにかけて上げ幅を縮小。最終的にはわずか54円の小幅高です。

 逆に、5月21~22日の先進7か国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は、「政策で株高」を想定している投資家には散々な結果でした。日本が意図したG7が協調しての財政出動は打ち出せず、米国のルー財務長官に為替介入を封じられた。おまけに、麻生太郎財務相から「消費増税については、米国に対し、予定通り(に行う)ということを説明した」との発言が飛び出しました。

 しかし、23日の日経平均は、一時300円以上下落する場面があったものの、終わってみれば前営業日比82円安の小幅安です。このように最近の市場は政策がらみのニュースに関して、好材料でも悪材料でも無反応。騒いでいるのは前述の一部のストラテジストやヘッジファンドなどの投機筋だけのように見えます。

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