先送りしても効果は一時的

 以上は、消費増税が先送りされるかどうかの予想です。べき論でいえば予定通り引き上げるべきでしょう。景気にとっても株式市場にとっても先送りはマイナスの方が大きいと思われます。

 例えば景気への影響について。先送りすれば来年の景気にはプラスです。ただしそのプラスは一時的なものに過ぎず、日本の潜在成長率が高まるわけではありません。

 また先送りしても1~2年後に引き上げるのならば、タイミングだけの問題で影響は同じです。むしろ将来の税率引き上げという不透明要因が残るよりも、早期に引き上げてすっきりした方が消費者心理や企業の設備投資意欲の改善に繋がると思います。

 また、似たような理由ですが、消費増税の再延期自体が「景気はそんなに悪いのか」との印象を与えることになり、却って消費や投資を委縮させることも考えられます。

 以上の景気への影響は株式市場にも当てはまります。増税延期が決まれば瞬間的には日本株にプラスになるでしょう。しかし、しょせん景気への効果は一過性のもの。であれば株式市場への効果もまた一過性のものに止まるでしょう。

 加えて懸念されるのは安倍首相のリーダーシップに傷がつくことです。2014年に続いて16年、3年間で2回の先送りとなると、投資家は安倍首相のリーダーシップに疑問を持ち始めるでしょう。その結果、「安倍に痛みを伴う改革は実行できない」となれば、安倍首相の下で日本が変わることを期待していた投資家は日本株から撤退すると思われます。そうなれば日本株はまた元のボックス相場に逆戻りです。

目先の景気対策より将来のための成長戦略を

 基本的に消費増税の先送りが許容されるのは、例えば天災やリーマン・ショックのような外的ショックで一時的に日本経済が悪化しているケースに限られます。この場合は、景気が悪化している段階で増税するのでなく、こうしたショックの影響が薄らいで、景気が正常化した段階で消費増税を実施することが可能になるからです。

 しかし、現在はそうした外的ショックで景気が悪化しているわけではないため、先送りしても今よりよい状況で増税することができるかどうかわかりません。であれば増税の先送りは単なる問題の先送りにすぎないことになります。それよりもむしろ今回予定通り消費増税を実施することにより、財政規律をないがしろにしない姿勢と安倍首相のリーダーシップを示すべきでしょう。

 併せて必要なことは、目先の景気のために小手先の対策を打つことでなく、仮に痛みを享受しても日本経済や企業の競争力を引き上げるための成長戦略を実行することです。