経済対話は常識派のペンス副大統領に期待

 「そうはいってもトランプ氏は信用できない」という方も多いでしょう。それはその通りです。そこで、注目したいのは人事です。

 前回の「閣僚人事で占うトランプ・ラリーの持続性」で述べたように、トランプ政権には一癖もふた癖もある人物が大勢います。その中で数少ない常識人がペンス氏であり、ムニューチン氏であり、マティス氏です。

 もし対中強硬派で知られる通商担当の大統領補佐官 ピーター・ナバロ氏などが経済対話のトップに指名されていたならば、それはトランプ氏の「徹底的に揺さぶってやる」というメッセージとして警戒すべきです。しかし、ペンス氏やムニューチン氏ならば、建設的な議論が期待できます。またトランプ氏もそれを了解していることになります。

「米国第一」のトランプ氏を「国際協調」に変えた

 首脳会談における日本側の対応を高く評価する2番目の理由は、安全保障と経済についてアジア太平洋地域における米国のコミットメントを確認したことです。トランプ大統領は大統領選の最中から「アメリカ・ファースト」を掲げ 、米国一国主義を唱えてきました。いわゆる内向き思考です。しかし、今回の首脳会談はそうした姿勢を国際協調の方向に修正した意味合いがあります。

 安全保障においてアジア太平洋地域における米国のプレゼンスを確認しました。また経済面ではアジア・太平洋地域の貿易ルール作りを日米が主導すると打ち出しました。これは「日米主導で新たな環太平洋経済連携協定を(TPP)の形成を」と読むこともできます。

 トランプ大統領がどう考えているかは分かりませんが、安倍氏はこの会談を単に日米2国間の問題を論じる場ではなく、アジア太平洋地域の問題を論じる場に変えることに成功したわけです。これが今回の会談を評価する2番目の理由です。

 3番目は、安倍氏とトランプ氏の個人的な信頼関係の強さを、世界に見せつけたことです。安倍氏が世界のリーダーの中で、トランプ氏と最も太いパイプを持つことに異論がある人はいないでしょう。これは安倍氏自身や今後の日本外交、日本株にとってプラスになると考えています。

 首脳会談を評価する点は以上の通りです。懸念されていた米国からの要求が皆無だったことで100点。アジア太平洋地域に対する米国のコミットメント確認と二人のリーダーの個人的な信頼形成の成功がそれぞれ50点で合計200点、これが今回の首脳会談における安倍氏への評価です。