量的・質的緩和金融はこのままでよいのか?

 現状の資産買い入れを中心とした量的・質的金融緩和(QQE)はこれ以上の国債購入増額が困難視されるなど市場に与える影響などから既に限界に達しているとの見方が以前からありました。今回のマイナス金利導入はこれ以上の資産買い入れ拡大が困難であるがゆえの代替策であり、この見方を裏付けるものと考えられます。

 追加緩和がない程度ならまだしも、日銀が資産買い入れの規模を縮小せざるを得ないことになれば、市場に大きな影響を与えることは間違いありません。マイナス金利の導入といった弥縫策でなく、現在進行中のQQE全体について見直すことも必要です。特に「市場との対話」の観点からすれば、そうした事態に備えておくよう市場に警告を発しておくことは最優先で検討すべき課題と思われます。

黒田総裁自身が抱える問題点

 その他の日銀が抱える問題点として、黒田総裁の姿勢が挙げられます。まず「市場との対話」についての配慮の欠落です。

 今や主要中央銀行にとって市場との対話は金融政策の重要な一手段となっています。米連邦準備制度理事会(FRB)は時間をかけて市場と対話しながら出口戦略を進めることにより、ゼロ金利政策の解除にたどり着きました。

 しかし、黒田総裁の政策運営はサプライズを狙ったものが多く、市場との対話とは対極にあるように見受

けられます。2013年に異次元緩和を開始した時や、2014年に追加緩和をした際にはこれが功を奏し、株高・円安につながりました。

 しかし最近は弊害が目立ちます。「必要があれば行動する」を繰り返すばかりで次の一手についての示唆がないため、エコノミストや市場が黒田総裁の意図をはかりかね、混乱することが多々あります。

 その典型が昨年12月の金融政策決定会合での「補完措置」です。黒田総裁が市場との対話に気を配っていれば、株価が乱高下するなどの混乱は回避できたでしょう。また今回も直前まで否定していたマイナス金利を導入したことは市場関係者だけでなく、多くの金融機関に混乱を及ぼしたと思われます。

 決定会合の運営についても同じことがいえます。日本経済新聞の報道によれば、マイナス金利導入の検討に着手したのはつい最近のことであり、審議委員に伝えられたのは会議の直前だったようです。これでは会議で十分な議論を行うことは困難でしょう。採決の結果は5対4、ギリギリの決定でした。

金融政策のフレームワーク見直しが急務

 このように現在の金融政策のフレームワークは目標設定から実行手段まで問題含みであり、一刻も早い検討する必要があると考えています。そうしなければ「デフレとの戦い」は長期化・泥沼化し、資産の購入をこれ以上継続することが困難となった場合に、資産価格が一気に急落するリスクが高まります。また黒田総裁も、これまでのような独善的な政策運営を修正し、市場との対話や審議委員の間でのコンセンサス形成を重視するよう心がけるべきでしょう。