トランプ氏は大統領選でパリ条約からの離脱や石油採掘規制の撤廃などを公約として掲げました。ペリー氏とプルイット氏の起用はこの公約を実行する強い意志を示すものと思われます。オバマ政権は地球温暖化防止や環境保護に重点を置いた環境政策、エネルギー政策を進めてきましたが、トランプ政権による方向転換は必至でしょう。

タカ派色が強い軍出身者

 軍幹部出身者が3人と多いのもトランプ政権の特徴です。こちらも個性的な人物が並びます。国家安全保障担当補佐官に指名されたマイケル・フリン氏は元陸軍中将で、オバマ政権で国防情報局長を務めた人物です。しかし、中東政策で意見が折り合わなかったため解任。その後はオバマ批判に転じ、大統領選ではトランプ氏の外交政策アドバイザーを務めました。

 イスラム教徒に対する厳しい発言で知られており、対テロではロシアとの協調を唱えています。このフリン氏の見方が、トランプ氏のロシア観に影響しているとの指摘があります。

 国防長官に指名されたジェームズ・マティス元中央軍司令官は「敵を撃つのは楽しくて仕方ない」(日本経済新聞、2016年12月3日)などの発言で物議を醸した人物で、「狂犬」の異名があります。また対イラン強硬派としても知られています。

 マティス氏は上院での承認が不安視されている閣僚候補の1人でもあります。米国では、大統領が指名した人物が閣僚に就任するためには上院の承認を得る必要があります。過激な発言が物議を呼んでいるのが理由の一つ。また軍人は退役後7年を経過しないと国防長官に就任できないとの規則があり、2013年に退役したばかりのマティス氏が就任するには特別な手続きが必要であることも理由に挙げられています。

 この2人に比べて比較的癖がない印象があるのが、国土安全保障長官に指名されたジョン・ケリー氏です。南方軍司令官としてメキシコなど中南米を担当した経歴の持ち主で「メキシコとの国境の不十分な警備が(麻薬やテロリストの流入を通じた)国家安全保障上の脅威だ」(ロイター、2016年12月7日)と発言したことがあります。

 トランプ氏はケリー氏を指名するに当たって「急務である不法移民の流入阻止や、国境警備の陣頭指揮にふさわしい人物だ」(時事通信、2016年12月12日)とコメントしており、壁の建設を含むメキシコとの国境管理やテロ対策などを担当すると見られています。

通商政策担当は対中強硬論者

 通商政策を担当するのは新設の国家通商会議(NTC)。そのトップを務めるのが担当の大統領補佐官に指名されたカリフォルニア大アーバイン校のピーター・ナバロ教授です。

 ナバロ氏は筋金入りの対中強硬派として知られています。『米中もし戦わば』との著作があるほか、中国からの輸出の増加が米国の製造業に与えた打撃を取り上げた映画「Death of China」を監督したりしています。大統領選でも対中政策についてトランプ氏にアドバイス。トランプ氏が主張した為替操作国としての指定や中国製品に対する45%の関税などは「いずれもナバロが知恵をつけた」(日経、2016年12月23日)と報じられています。

 NTCの下で通商交渉の実働部隊としての役割を担うのが米通商代表部(USTR)です。そのトップ(米通商代表部代表)に指名されたのが、やはり対中強硬派として名を馳せるロバート・ライトハイザー氏です。

 ライトハイザー氏はレーガン政権下でUSTRの次席代表を務め、日米鉄鋼交渉で日本に鉄鋼の輸出自主規制をのませた実績があります。またその後もUSスチールの顧問弁護士として中国鉄鋼メーカーの輸出をダンピングと非難、米政府にアンチ・ダンピング関税の適用を再三求めてきました。まさにタフ・ネゴシエーターといった印象のある人物です。