よく、「私たちの会社は3Kの会社です」と言われ、どうしようもないんだとおっしゃる方とお会いしますが、そればかり繰り返してひっそりと陰に隠れていたら従業員は不幸ですよね。TESSEIは、新しい3K「感謝、感激、感動」をめざすんだという夢、目標を持った。そしてそれをお客さまに、社会に訴え続けてきたんです。

孫が「おばあちゃん、格好いい」

 有名なタレントの方が多くみえる。そしてそういう人たちと現場の女性たちが一緒に仕事をしたり会話をしたりしているシーンも放映されるのですが、それを見たアラ還女性のお孫さんはたいてい「おばあちゃん、格好いい」って言ってくれるんですね。この一言は、とても大きい。我々が言うのとは比べものになりません。

 制服を新しいものにしたときも、家に持ち帰ってお孫さんの前で着て見せた人がいるんですが、彼女も「孫に素敵と言われた」と、嬉しそうに私に教えてくれました。

入山:埼玉県入間市にある石坂産業という産廃業者でも、現場を公開したことがモチベーションの向上につながったそうです。

スタッフに対してもおもてなしが必要

矢部:経済産業省が、社員やお客様を大事にしている会社を選出した「おもてなし経営企業選」に、一緒に選ばれました。おもてなしというのは、お客様に対してだけでなく、スタッフに対しても必要なんです。

入山:納得です。よく「見える化」と言いますが、矢部さんのしていることは「見られる化」ですね。見られる化すると、認められて嬉しいだけではなく、より正確に一生懸命やろうという気持ちにもなるでしょう。今や、新幹線を利用する人はみんな、TESSEIのスタッフに注目していますからね。

矢部:際立つことは目立つこと。冬になると、清掃スタッフは真っ赤なブルゾンを着ています。女性たちは「私たちが還暦近いからでしょう」と言っていましたけれど、そうではなくて、目立つからです。

入山:それが意欲も緊張感も増しますね。

矢部:現場はトップが決めたことだけをやればいいなんていう世界では、清掃員は、ひっそりとお客様の陰に隠れるという発想になるでしょう。これまで、「エンジョイ・ウィズ・テッセイ」、「エバー・ウィズ・ユー、限りなくあなたと共に『新幹線劇場』」などというキャッチフレーズを作ってきましたが、エンジョイするのは、お客様だけでなく、スタッフもです。

 ユーにも、スタッフが含まれます。この話はよく研修でするのですが、スタッフは、まずは会社のためとかお客様のためでなく、自分のためを考えればいい。自分が幸せでないと、何も実現できない、と言ってきました。するとすぐ「給料を上げて」となるんですけど(笑)、「幸せはお金で買えるものではない、あなたのハートが幸せを呼び寄せるんだ」とか気障なことを言ってきました(笑)。今思い出すと恥ずかしいですよね(笑)

入山:外生的動機も重要ですからね(笑)。しかし、今日のお話はまさに三方よしですね。会社がスタッフを大事にすれば、スタッフは会社を大事にする。そしてお客さまを大事にする。

矢部:その通りです。「おもてなし創造部」を専務の時につくりましたが、この部は、お客さまだけではなく、スタッフをおもてなしする部なんです。

 東京駅で新幹線をご利用になられる際には、TESSEIのおばちゃん、おじちゃんたちに絶大なエールをお願いしたいと思います。そして、みなさまとご一緒に新しい3K「感謝、感激、感動」の世界を創れたら、私にとって思い残すことはありません(笑)。