『銀河英雄伝説』が中国文学に受けた影響

加藤:宮崎駿の作品が中国の影響を受けていて、それが彼の作品に反映されているということを知っている中国人は多いです。他にも、1970年代に放送されたアニメ『宇宙戦艦ヤマト』の基本設定を書いたSF作家の豊田有恒氏は、中国の『西遊記』からヒントを得た、と述べています。地球が汚染されたのでイスカンダル星までヤマトが放射能除去装置を取りに行く、という設定は、中国が乱れたので三蔵法師が天竺までお経を取りに行く、というのと同じ構造です。

 最近、再アニメ化が決定して話題となっている『銀河英雄伝説』は、未来の宇宙を舞台にした壮大なSF作品ですが、作者の田中芳樹氏は中国史や中国の古典文学にも造詣が深いので、随所に中国文学の趣向を活用しています。『銀河英雄伝説』の主人公のひとり「ヤン・ウェンリー」の名前の出所が、中国の南宋時代の漢詩人・楊万里(よう・ばんり。中国語での発音はヤン・ウァンリー)であるのは、ファンのあいだでは有名ですね。このように、知らず知らずのうちに、日本が中国の影響を受けているということは非常に多いのです。

今、日本のアニメ界で活躍している人たちは、『宇宙戦艦ヤマト』や『銀河英雄伝説』を見て育った人が多いでしょうから、間接的に今の日本の作品も、脈々と中国の影響を受けているといえなくもないですね。それに、【前編】で紹介したように、逆に中国の若者たちは日本のアニメを見て感動し、日本のアニメで育った人たちが多いですが、彼らが国産アニメとして昨年大ヒットした『西遊記之大聖帰来』や、学園ハーレムドラマを作っていったのなら、日本人としてうれしいと思います。

 加藤先生、今日は長時間、どうもありがとうございました。今後も、おもしろくてためになる、そして超オタクの授業を期待しています!

 2015年、日本列島に巻き起こった「爆買い」の嵐。これは一過性のものなのか、あるいは「爆買い」はまだ続くのだろうか? 多くの日本人にとって気がかりなことだろう。
 「再来一杯中国茶」の中島恵さんが、当連載の一部を元にして、中国人の考え方や、「爆買い」の日本人の受け止め方などを紹介している本です。