
東京都江東区新木場の東京ヘリポート内にある「東京消防庁江東航空センター」、ここがエアハイパーレスキューの拠点だ。格納庫を見上げて“防災の鬼”渡辺実氏がこんなことをつぶやいた。
「空からの消防、救助に特化したエアハイパーレスキューは全国的にも画期的な取り組みです。それなのにこの存在について知っている人ってあんまりいないよね。広報が下手なんですよ。今日はそのすべてを見せてもらおうと思っています」
“チームぶら防”を迎えてくれたのは東京消防庁 航空消防救助機動部隊 部隊長機動救助隊長 消防司令の岡野幸三氏と、同じく消防司令補 田端誠一郎氏だ。
本題に入る前にエアハイパーレスキュー隊の基本を整理しておく。
一般にはエアハイパーレスキューと呼ぶが、正式には「航空消防救助機動部隊」だ。2016年の1月に発隊した。高度な救助技術や救急救命士、整備士の資格を有する44人の精鋭で構成されている。
陸上からの接近が困難な災害現場にいち早く駆けつけ、地上部隊と連携しながら空からの消火・救助などの活動を行う航空消防専門の部隊だ。部隊は江東航空センターと多摩航空センターの2拠点に配置され、都内全域の災害現場へ迅速に「出場」できる。
「東京都の防災計画策定のお手伝いや訓練、講演、相談など、東京消防庁との付き合いは長いのですが、エアハイパーレスキューについて突っ込んだ取材は今回が初めてです。近年の災害を見ると異常気象の問題が特に大きく、水害などが起これば空からの救助が重要になってきます。となるとこちらの部隊の活動もおのずと重視されてきますね」(渡辺氏)
「しかしこれまで東京消防庁を含め、各自治体の消防部局も『航空隊』は持っているものの、空からの救助・消防に特化した部隊を専門で抱えることはありませんでした。ただ、渡辺さんのご指摘通り、水害などが起これば陸地からのアクセスが困難な場合が多々あります。空からのアクセスに特化した部隊の必要性は以前から言われていました。16年1月に東京消防庁が全国に先駆けてエアハイパーレスキューを発隊することになったのです」(岡野氏)
そもそも航空隊とエアハイパーレスキューの違いはどういったところなのか。
「東京消防庁の例で言うと既存の航空隊はメカニックとパイロット、そこに航空救助員が1~2人という編成でしたが、さらに救助員の増強が必要な場合は各方面本部の機動部隊員を搭乗させて連携していました。つまり、専属ではなかったわけです」(岡野氏)
「災害現場は常に混乱状態です。そうした場所でチームが迅速に行動するにはなにより人間関係が大切です。数年のレンタルでは確固たる人間関係ができにくい。そういう意味でも専任のチームを作ることには大きな意味があると思いますね」(渡辺氏)
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