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ものはあるのに入居できない理由とは

「トレーラーハウスだから、持ってきたらその日から住めるのかと思っていたのですが、そんなことはありませんでした。一般的な住宅同様、上下水道や電気・ガスの整備が必要なんです。考えたら当たり前のことですよね」(竹田さん)

 北海道でトレーラーハウスを販売し、今回のトレーラーハウス仮設活用の現地対応をするスノードリーム(苫小牧市)の真保郵生代表が事情を説明する。

「被災のため寸断してしまった各種ライフラインの整備や被災した家屋の補修などなど、被災地はどこもそうですが、建築、建設業界のマンパワーがいっきに不足するのです。仮設住宅の設営に関しても事情は同じです。さらに厄介なのが、災害時の各種工事は当該自治体の指揮下で行われます。よってその自治体の『指定業者』でなければ工事を請け負うことができないのです。例えば他県の業者に私が勝手に発注するわけにはいかない」(真保氏)

スノードリームの真保郵生代表

 そうした理由から工事が遅れ、トレーラーハウスが届いてから実際に引っ越しが始まるまでに1カ月というタイムラグが生じてしまった。

「とにかく職人不足など厳しい現実と闘いながら、本格的な積雪期までにはトレーラーハウス仮設に入居していただくために頑張っていきます」(真保氏)

 船出から順風満帆とはいかなかったものの、今回のトレーラーハウス型仮設住宅の運用は歴史的エポックだと“防災の鬼”渡辺氏は言う。

「これまでは自治体の持っている土地や、自治体が借り上げた公の土地に仮設住宅を一団地で建設してきました。ところが今回は竹田さんを始め、個人宅の庭先へ戸別に設置した。災害救助法を根拠にした公の予算で、戸別私有地に応急仮設住宅を建てることを国は初めて認めた。過去の歴史にない、画期的な出来事なのです」(渡辺氏)

 その「画期的」な判断をした人物が北海道安平町にいると聞きつけ、ぶら防取材班一行は早速駆けつけた。