まだまだ加入率は低い

 「地域差によるリスクの違いもあるけど、建物の構造によるリスクの違いもある。簡単に言うと、鉄筋コンクリート製か木造かで違ってくるということだね」(渡辺氏)

 地震保険の対象となる建物の構造的なカテゴリーは「イ構造」と「ロ構造」の2つに分けられている。セットで契約する火災保険の区分に準じるかっこうだ。ここも保険料が変わってくるポイントだ。

 「『イ構造』は専門用語で言うとM・T構造とか特・1・2級構造とか言うんだけど、主に鉄骨構造の建物を指し、『ロ構造』は主に木造の建物を指す。ただし木造であっても建築基準法が定める耐火の基準をクリアしていれば『イ構造』と認められる場合もあるんだけどね。そこは保険に加入するときにしっかりと把握しておくべきだね」(渡辺氏)

「火災保険を契約するときに、『うちは地震保険はいりませんよ』という場合は保険契約申込書の『地震保険ご確認』欄に押印をしてもらいます。つまり火災保険を契約する際に、必ずそこに注意が行くように工夫している。業界としては、多くの方々にリスクをきちんと認識してもらい、地震保険は付帯(火災保険と同時に加入)してもらいたいと考えているんです」(損保協会)

 現在契約している火災保険の契約時に地震保険を契約していなかったとしても、保険期間の中途からでも地震保険は契約できる。ただし、大規模地震対策特別措置法による警戒宣言が発せられた以降は契約できなくなるケースもあるから注意が必要だ。

 「被災者」という言葉がある。渡辺氏は「人は突然被災者になる」とよく口にする。そしてすでに被災者になった、それ以外の人を『未災者』と定義する。

 「つまり、災害を経験したことがない者はただ未経験なだけであって、いつでも被災者になる可能性をもった『未災者』なんですよ。そういった人たちにとって地震保険の必要性を知ってもらうことは本当に重要。そこは声を大にして言いたいわけです」(渡辺氏)

 ただ、地震保険の世帯加入率は高いとは言えない。以下のグラフを御覧いただきたい。

地震保険世帯加入率の推移

 年を追うごとに増えてはいるものの、2015年度の世帯加入率は30%ほどだ。火災保険に入っている世帯のうち地震保険をセットで付帯している「火災保険への付帯率」でさえ60%ほどだ。

 「まだまだ低い数字ですね。地震・火山の活動期に入ったと警告が出されている日本ですから、今後はもっと伸ばしていく必要があると思います」(渡辺氏)

 さて、「地震保険いろはの、い」はここまで。

 次回はいよいよ「具体的にどんな人が加入すべきなのか?」「2017年1月の改定はどこに注目すべきなのか?」について質問するとともに、「そもそも公的支援金があるのに、なぜ民間の地震保険に加入しなければならないのか」について“防災の鬼”渡辺氏が突っ込む。