
東京都千代田区にある損保会館、“防災の鬼”渡辺実氏がそのビルを見上げてつぶやいた。
「地震保険というのは保険屋さんたちの商売のために作られるような類のものじゃないんだ。日本の政府が国民の生活を守るために、『地震に関する法律』、いわゆる地震保険法というものを整備し、国と民間と協力する形で作り上げたのが地震保険。だから損害保険の商品にくらべると地震保険はわかりやすい仕組みになっている。どの程度の被害に対していくら支払うか、というのがとてもシンプルなんだね」
当たり前のように語る渡辺氏だが、地震保険という言葉は知っていても、その中身となると全くお手上げという人が少なくないだろう。そもそも地震保険は単独で加入できるものではない。火災保険とセットでしか加入することのできない商品なのである。
「地震保険の仕組みは、我々のような防災の専門家にとっては常識なんだけど、大地震なんて一般の方々にとってはまさに一生に一度あるかないかの危機ですからね。我がごととして考えろと言ってもなかなかそうはいかない。だから地震保険の内容についても知らない人が多いのが現状。実は2017年の1月にはその一部が改定されるんだけど、そんなこと知ってる一般人は、まぁ皆無でしょうね。でもそこには大きな問題も隠されている。今日はそうしたことを伺うために、久しぶりにここ(日本損害保険協会)までやってきたというわけ」(渡辺氏)
取材に訪れた“チームぶら防”を対応してくれたのは損保協会の損害サービス業務部、業務企画部、広報室の方々。“防災の鬼”渡辺実氏との議論の火蓋が切って落とされる。

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