1秒間で25メートルプールの水を処理

 このコンクリート柱を見上げる格好で、全体を観察した。幅78メートル、長さ177メートル、高さ18メートル。大雨の際にはここに水を一旦溜める。まさに地下のダムである。

「でも河川から引き込む水なので泥水でしょ。瓦礫なんかも含まれているんじゃないですか。掃除も大変でしょ」(渡辺氏)

「流入口には除塵機というゴミを取り除く機械があり、大きなゴミは入らないような構造になっていますが、土砂が堆積しますので年に1度は全体の大掃除をします」(長氏)

「まさか人力で?」(渡辺氏)

「見学コースのエリアはその都度人力でやるのですが、年に1度の大掃除のときは、上の扉を開いてクレーンでブルドーザーを吊り降ろします。そうしないと処理しきれないほどのドロや砂がたまります」(長氏)

 調圧水槽の奥には排水ポンプの吸込口があり、その上に、排水用のガスタービンが設置されている。

「航空機用のタービンを改造したものが使われています。これが4機。これで溜まった水を江戸川に排水するわけです。すべてをフル稼働させると、1秒間に200立方メートルの水を処理できます。1秒間で25メートルプール1杯分を吸い出すイメージですね」(長氏)

 それだけの排水能力があるのなら、貯水槽はもう少し小さくてもいいような気もする。

 渡辺氏のマニアックな質問が続く。

「奥行き177メートル、幅78メートル、それだけの規模の地下構造物でしょ。広さを含め、この施設の設計の根拠は?」

「流れてきた水をいったん貯めつつ、タービンを使って吐き出すのですが、緊急停止時には毎分200立方メートルを吐き出していた水の逆流が起こります。これが津波のような勢いになるのです。そうした力を弱めるためにこの広さが必要だったわけです」(長氏)

「なるほど、なるほど!」(渡辺氏)

 タービンの燃料は重油。4台が3日間フル稼働できる量の重油が常にプールされているという。