施設の頭脳「操作室」の役目
我々がお話をうかがったのは首都圏外郭放水路の頭脳ともいえる「操作室」だ。下の写真を参照していただけば分かる通り、複数の巨大モニターが設置されている。

「首都圏外郭放水路は複数の河川から水を引き込んで排水します。刻一刻変化する気象情報や川の水流の状態などを細かくチェックしておく必要があります。また、水を引き込むために各河川に設置されたゲートの開閉などもこちらで一元管理します。またゲートの開閉などが安全に行われているか、付近に危険なものはないかなどを26個のモニターで監視してもいます」(長氏)
「これって、まさにダムのシステムなんですよね。首都圏だから建物が高密度に建設されていて、大きな溜池やましてやダムなどを造るスペースはありません。だったら地下に造ってしまえ、というのが、僕は、この首都圏外郭放水路の基本コンセプトだと思っているんです。この発想の転換がすごい」(渡辺氏)

「地下のダム。なるほど、そう言えるかもしれません」(長氏)
「今の政府は原発の海外輸出なんかを推奨しているみたいですが、こうした治水施設やノウハウを途上国へ輸出したほうが喜ばれると思うんですよね。地下であれば大都会のど真ん中にでもダムを造ることができる。気候変動が激しい時代に入ったいま、増やしていくべきだと思っています」(渡辺氏)
明日公開の後編では、いよいよ地下の施設に潜入する。
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