低地に降った水を江戸川に流す

 お話を聞かせてくれたのは首都圏外郭放水路管理支所・管理第一係長の長康行氏だ。

首都圏外郭放水路管理支所・管理第一係長の長康行氏

「まずはこの放水路の概略を教えてください」(渡辺氏)

「江戸川と中川、そして大落古利根川(おおおとしふるとねがわ)という河川に挟まれた低地に降った水を江戸川に流すのが首都圏外郭放水路の役目です。国道16号線の地下約50メートルに建設したトンネルで結ぶ全長6.3キロメートルの施設です。1992年(平成4年)度から工事が始まり、2006年(平成18年)度に全区間が完成しました」(長氏)

 全長6.3キロメートルの施設のところどころに河川から水を取り込み調圧水槽に送る立坑が5本設けられている。5本の立坑はトンネルで結ばれており、各立坑から取り込んだ水は巨大な水瓶である調圧水槽に貯め、その後江戸川に排水する。ごく簡単に説明するとこれが首都圏外郭放水路の機能だ。

首都圏外郭放水路の断面図。全長は6.3キロメートルある

「東京から見ると、少し北にある低地。このあたりは水が流れにくい地形なんでしょうね」(渡辺氏)

「おっしゃる通りです。勾配が緩く水が流れにくいことに加え、大河川に挟まれた場所がお皿のようになっていて水が溜まりやすいのです。おかげで降った雨がうまく海まで流れてくれない。そこで中川、倉松川、大落古利根川、幸松川などの河川から水を引き込んで江戸川に流す地下トンネルを作ったわけです」(長氏)

「都市化が進んだおかげで地面がアスファルトやコンクリートに覆われてしまった。かつては地面に染み込んでいた水も地上に溜まるようになったということもありますね。能力としてはどのくらいの水を処理できるのですか?」(渡辺氏)

「見学される方々には100年に1度の洪水に対応している、とご説明しています。具体的には48時間で355ミリの降水量を想定しています」(長氏)

「なるほど、でも現在は『スーパー台風』が想定される時代です。7月の西日本豪雨では広島県東広島市などで48時間に426.5ミリも降らせています。100年に1度という想定はもはや過去の尺度なのかもしれません」(渡辺氏)

「そうですね、想定外の洪水の可能性は否定できません」(長氏)