日本の防災・危機管理を考えるうえで重要な2本の映画。『太陽の蓋』(上)と『シン・ゴジラ』(©2016 TOHO CO.,LTD.)

東日本大震災から5年になる今年、防災の観点から大きな意義のある2本の映画が封切られた。『太陽の蓋』と『シン・ゴジラ』だ。ドキュメンタリーフィクションと、SFファンタジー。表現の手法は違い、取り扱うテーマも大きく重なるが、どちらも一級のエンターテイメント作品だ。危機管理や防災意識は興味のない人に届いてこそ意味がある。エンタメは格好の伝達手段だ。“防災の鬼”渡辺実氏も強くそう感じている。今回は『太陽の蓋』のプロデューサーである大塚馨氏をお招きし、映画と防災の親和性について議論していただいた。

 大地が突然鳴動し、大津波が襲ってくる。原子力発電所が突然爆発し、放射性物質を撒き散らす。我々人間はなすすべなく、瓦礫の山を見上げるだけ。

「人はある日突然被災者になる」

 “防災の鬼”渡辺実氏の口癖だ。科学がどんなに進歩しようとも、災害はいつも想定を上回る。2011年3月11日、私達はイヤというほど思い知らされた。

 5年が経過した今年、2本の映画が封切られた。

 『太陽の蓋』(製作:アイコニック、監督:佐藤太、脚本:長谷川隆)は、原発事故発生からの5日間を、首相官邸内の様子を通して描いた作品。2016年のモントリオール映画祭に招待された、世界的に評価の高い映画である。

『太陽の蓋』の1シーン。左は官房副長官秘書官の坂下(袴田吉彦)、右は内閣官房副長官の福山(神尾佑)

 もう一本は『シン・ゴジラ』(製作:東宝映画、総監督・脚本:庵野秀明、監督・特技監督:樋口真嗣)。ご存知のように東宝の看板キャラクター「ゴジラ」の最新作だ。巨大未確認生物が東京の街で暴れまくる。

 一見すると全くの別モノに感じられるが2作品だが、テーマは同じ──。『訳の分からない恐怖に立ち向かう人たちの物語』である。