被災地地図の更新の仕方

髙橋弘樹巡査長

「3・11のときの津波被害でもそうでしたが、今回のように水害の場合、被災者は水に流されて思いもしないような場所で助けを求めている可能性がありますよね。そのような場合はどういう捜索をするのですか」(渡辺氏)

「いわゆるGoogle Mapのようなアイテムも使います。ネットの衛星写真で、例えば流された家の屋根の色を確認する。そして実際に現場を歩いてその家を探す。別の場所に流されていたら、元の住所と照らし合わせて、地図に落とし込む。車などが流されていたら、そのナンバーから持ち主を割り出して、捜索の手がかりとする。そうしたことを積み重ねて被災地の地図をどんどん更新していきます」(髙橋氏)

「なるほど、車のナンバーから持ち主を割り出すことができるのは警察ならではですね」(渡辺氏)

 また救助のやり方についても警察ならではの方針があるという。

「我々は警察官ですから、例えばバスの横転事故などで救助にあたるときにも、ハンドルはどの方向に切られていたか、シフトレバーはどの位置にあったか、その後の捜査に係ることを頭に置いて救助します。ご遺体の取り扱いにしても同じ。後に死体検案があることを考慮しながら助け出します」(髙橋氏)

 SRTの隊員は「ご遺体を助け出す」との言葉を使う。亡くなっていたとしても生体と同じように扱い、決して無理な姿勢を取らせることはない。

「痛くないように、苦しくないようにご遺体を取り扱います」(齊藤氏)

 日々ご遺体と向き合っている警察ならではの「心」である。

「お話を聞けば聞くほど、特殊救助隊が警視庁にしかないことが残念ですね。各県警にも広めるべきだと切実に思います。最後にお尋ねしたいのですが、もし首都直下地震が関東を襲った際、SRTはどのようなオペレーションで動くことになりそうですか」(渡辺氏)

「とても難しい質問ですね。首都直下が実際にどのような被害を発生させるか、正直想像することは難しい。多分、SRTはもっとも困難だと思われる場所に投入されることになると思います。我々の仕事は困難な場所に急行し、救助の筋道を付けることです」(齊藤氏)

「筋道さえ付けば、一般の機動隊でも対処できますね」(渡辺氏)

「そう、そこまでやってまた次の現場に行く。首都直下地震が起こったらその繰り返しになると思います」(齊藤氏)

 本部を後にした“防災の鬼”渡辺氏はつぶやいた。

「警察といえば事件・事故への対応が主だったが、災害現場で救助・救出の専門部隊としてSRTが発足したのは心強い。熊本の地震だったり、広島や茨城の水害だったり他県に派遣されることの多いSRTですが、同時に首都圏に大きな災害が起こった場合、その力量が問われることになる。その時のために、SRTの蓄積した救助ノウハウをさらに強化し広げていくことが大切ですね」