被災地の情報は警察が一本化すべき

齊藤昌巳警部

「こうした成功体験もありまして、現在全国の各警察組織も『指揮支援チーム』に類似した組織を立ち上げようという動きが少しずつ出始めています」(齊藤氏)

「それは心強いですね。我々市民としては、被災したときに最初に電話するのは警察の110番か消防の119番です。そして現地のことを一番知っているのは毎日のようにパトロールをしている地元警察。自衛隊の機動力には凄まじいものがありますが、彼には『地元の知識』がない。やっぱり警察が被災地の情報を一本化するのが日本的だと思いますね」(渡辺氏)

「道路を通したり、仮設の橋を掛けたり、そうしたことは自衛隊さんにしかできません。多くの重機を被災地へ導入できるのも自衛隊さん。また、彼らのバイク隊の機動力は凄まじい。あっという間に被災地の情報を集めて、地図に落とし込んでいきます」(齊藤氏)

「ところが、刻々集まる情報を記した自衛隊員のメモを見ると全部カタカナなんですよ(笑)。地元の情報が少ないから漢字で地名が書けない。でもそれで十分です。自衛隊のカタカナを地元警察が翻訳すればいい」(渡辺氏)

 もちろん現場レベルでは警察、消防、自衛隊が協力しあいながら救助を行っている。つまり現場では組織ごとの垣根は低い。

「我々は警察ですから、住民とのコミュニケーション能力については消防さんや自衛隊さんより高いと思っています。実際私も交番のおまわりさんがキャリアのスタートです。被災地では行方不明者の捜索などに『聞き込み』が欠かせません。人からの情報収集は我々の得意分野でもあります」(髙橋氏)

 今回の豪雨災害では『迷彩服を着た泥棒が各地に出没している』というデマが流れた。迷彩服や、自衛隊組織に対する潜在的な偏見がこのようなデマを生んでいるとも考えられる。

「実際、自衛隊員から『聞き込みの際には警察と一緒に行動したい』という声を現場でよく聞きます」(齊藤氏)

警備犬の訓練風景

「なるほどね、よくわかります。今回の広島で、SRTがまず行ったのは現地の情報収集ということでしたね。その方法について教えてください」(渡辺氏)

「警備犬、いわゆる救助犬を2頭連れて行っていましたので、まず犬たちに探索させました」(髙橋氏)

「警察犬ではなくて『警備犬』なんですね」(渡辺氏)

「そうです、国際緊急援助隊で海外に出動した実績のある犬です。警察犬は持ち物などの匂いから犯人を追尾する、というようなイメージがあるのと思うのですが、警備犬はそこが違います。彼らは救助を待つ人の気配を感じて、探索します。だから集まった救援隊などで現場がザワザワしていると気が散ってしまうことがあります。探索している間は人間の作業を一時中断するようなこともあります」(齊藤氏)