総勢30人の精鋭部隊

 40年間余り国内外の被災地取材を行ってきた渡辺氏は、警察組織が特殊救助隊を組織したことに万感の思いがある。

「いきなり消防の話で恐縮だけど、各県の消防本部が一般の隊員とは別に、ハイパーレスキュー隊を組織したことで、救助のレベルが2段階くらい上がった。救助能力が上がることで災害時などでの実績も上がる。すると予算も取りやすくなって装備や人員がさらに充実する。警視庁にSRTができたことで、この流れがやっと警察組織にも見えてきたという感じがします」(渡辺氏)

「阪神淡路の大震災や3・11の災害などを経て、日本全体の防災に関する意識が変わったように思います。例えば市民の方を集めたデモンストレーションなどでも以前は救助技術を披露すれば満足してもらえたのですが、最近は自分たちが体験して、被災したときに本当に役に立つ情報はなんなのかということを吟味するようになっています。市民の意識が変わり、そうして我々警察組織の意識も変わってきたということだと思います」(齊藤氏)

「読者のためにちょっとだけ整理しておきたいのですが、災害が起こったときには各県の警察本部の機動隊から“広域緊急援助隊”という部隊が被災地へ派遣されます。SRTはそれとは別の部隊ということですね」(渡辺氏)

「そうです。警視庁の場合、広域緊急援助隊員は青と黄色のユニフォームが目印です。彼らも救助に関するスキルはかなり高度なものを持っていますが、我々SRTはそれをさらに高めた部隊です。ユニフォームは緑とオレンジのツートンです。隊員は総勢30人程の部隊です。これを複数の班に分けて24時間体制でここ立川の本部に詰めています」(齊藤氏)

「今回の西日本の豪雨災害ではどういったオペレーションが組まれたのですか?」(渡辺氏)

「今回の第一次派遣は人命救助が大きな目的でしたので、隊の約半数である14人を現地に派遣しました。」(齊藤氏)

「SRTは警視庁の部隊ですからね、全員を出しちゃうと都内が手薄になる。こちらで同時期に同じような災害が起こったらそれにも即応しなければならない。だから全員行くことはできないということですね」(渡辺氏)

 6月の下旬から西日本の各地で大雨が続き、7月に入ると土砂崩れなどの大規模災害が各地で発生。警察、消防、自衛隊。各組織の救援隊が全国から集まった。