西日本に大きな爪痕を残した今回の豪雨を気象庁は『平成30年7月豪雨』と名付けた。死者は210人を超え、全半壊の住宅は7000棟余りにおよんだ。そのちょうど1年前には九州地方を豪雨が襲い、40人の犠牲者を出した。さらにその1年前は『熊本地震』。もう1年さかのぼれば『平成27年9月関東・東北豪雨』。このときは、茨城県常総市付近では鬼怒川の堤防が決壊し、甚大な被害をもたらした。そうした災害の現場では、常に警視庁の「特殊救助隊(SRT)」が活躍している。その実力に“防災の鬼”渡辺実氏が迫る。

毎年どこかしらで起こる大災害。いったい日本はどうなってしまったのか。
昭和を「戦争と経済復興の時代」と総括する見方がある。翻って平成を眺めるなら、この30年を「災害の時代」と総括することができるかもしれない。
東日本大震災の教訓を踏まえ、首都直下地震などが発災した場合に迅速な救助を行うため、2013年4月1日、警視庁内に『特殊救助隊』、通称SRT(Special Rescue Team)と呼ばれるエキスパート集団が組織された。
“防災の鬼”渡辺実氏は今回、SRTの本拠地である東京都立川市の警視庁多摩総合庁舎を訪れた。
「今回の豪雨災害で、私も被災地入りしました。現地では様々な救援隊が全国各地から集まっていました。SRTの姿も広島で見かけました」(渡辺氏)
取材当日は、被災地となった広島に救援部隊として赴いた隊員の話を聞くことになっている。庁舎の5階。「警視庁特殊救助隊」の看板がかかる部屋に通された。
迎えてくれたのは2人。齊藤昌巳警部 警視庁警備部災害対策課 特殊救助隊指導班長と髙橋弘樹巡査長 警視庁警備部災害対策課 特殊救助隊実施班だ。

髙橋巡査長は今回、鉄砲水が襲った広島県の矢野東地区にて救助活動に尽力した。齊藤警部は本部にて情報伝達の後方支援だ。
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