
ライフラインという言葉を聞いて何を思い浮かべるか。『大辞泉(小学館)』を開くと、「都市生活の維持に必要不可欠な、電気・ガス・水道・通信・輸送などをいう言葉。多く、地震対策との関連で取り上げられる」とある。他の辞書も概ね同様の解説だ。ここに『石油燃料』の言葉はない。“防災の鬼”渡辺実は言う。「石油も災害時のライフラインの大きな要素だが案外見落とされがちなんです。これが大きな落とし穴になっている」。言葉の真相を探るため、我が国における石油政策の総本山といえる石油連盟を訪ねた。
国内の石油製品需要は年2~3%ずつ減少している。2030年には現在より3割以上減る見通しだ。若者のクルマ離れ。石油燃料による火力発電の減少。省エネ意識の高まり。理由は様々ある。時代の流れ、とひとくくりに言うこともできそうだ。しかしこのままでいいのか。
“防災の鬼”渡辺実氏が指摘する。
「例えば、我々防災の専門家が自治体などの防災計画をコーディネートするとき、有事の際の備えとして、自家発電機の確保は必須です。ところが実際に災害が起こってみて気付くのですが、自家発電機は燃料がなければ動かない。自家発電機のほとんどはディーゼルエンジンですから、軽油や重油がなければ電気を作ることができないのです」
実際、東日本大震災では燃料が届かず稼働できない自家発電機が多くあった。防災と石油は切っても切れない関係のようだ。
災害時に石油はいったいどのようにして被災地に届けられるのか。実態を探るため東京・大手町の経団連会館にある「石油連盟」を訪ねた。
ご対応いただいたのは同連盟専務理事・奥田真弥氏だ。
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