来場者は20万人以上

 展示室には遺族の方々が墜落現場で収集しここに提供された飛行機の一部や、持ち主のわからない時計なども合わせて展示されており、事故の凄まじさを今に伝えてくれる。

 JAL123便の事故は、機体が異常な状態に陥ってから実際に墜落するまで30分以上の時間があった。乗客やクルーは生還の望みを捨てずに、しかし恐怖と戦いながらこの時間を過ごした。なかには自らの最期の言葉を書き残した人も複数名いた。

 「幸せな人生だった」と家族に感謝する言葉を残した人。
 息子に向けて「しっかり生きろ、立派になれ」と書き残した父親。
 「スチュワーデスは冷せいだ」(原文のまま)と乗務員の気丈な振る舞いをメモした人。

 これらの記録が遺族の許可を得て展示されている。

 日本航空安全推進本部マネジャーの辻井輝氏が言う。

 「当センターは第一に社員教育のためです。JALグループの全社員はもとより、社外の方々にも来ていただいております。これまでの来場総数は20万9000人です」

安全啓発センターを訪れたJALグループ社員のメモ

 安全啓発センターでの研修をうけて思ったことを、全ての社員は手書きでメモに残し、そのメモは施設内の壁に張り出されている。

 「もちろん全てをここに貼り出すためのスペースはありませんから定期的に入れ替えてはいるのですが、社長の言葉も張り出しここを訪れた人なら誰でも見ることができます」(辻井氏)

 「このメモは大きな存在ですよね。実名がわかるように書かれていることも高く評価できると思います」(渡辺氏)

 「またJALグループの安全教育のコンセプトのひとつに『3つの現』というものがあります。現場、現物、現人。現人とは実際の人という意味です」(辻井氏)

 「わかります。御巣鷹山という『現場』で、このセンターに展示されている機体の残骸や、18時56分で止まってしまった腕時計。ちぎれた車のキーなどが『現物』ですね。そしてやっぱり人。ご遺族の方々に会ってお話を聞くこともそうだし、社員がこのセンターに来て、こうして手書きの言葉を残していくというのも『現人』の大切な現れだと思います」(渡辺氏)