安全な会社に生まれ変わるために

直径4.5メートルのパラボラアンテナのような形をした後部圧力隔壁は垂直尾翼の真下にある。安全啓発センターには破損した後部圧力隔壁や垂直尾翼の一部なども展示されている。
渡辺氏は「墜落した機材の実物を見ると、当時の悲惨な現場がフラッシュバックする」としばし言葉を失っていた。
そんな渡辺氏は御巣鷹山の慰霊碑や安全啓発センターのことを「巨大な事故遺構」であると評価する。日本航空安全推進本部マネジャーの辻井輝氏が同センターについて解説してくれた。
「安全啓発センターは大きく『展示室』と『資料室』に分かれています。資料室には航空事故などに関する資料が開架されています。展示室の方は実際の遺品を展示しています」
入り口すぐには破損した垂直尾翼が横たわる。表面のいたるところに、現場の捜査官や事故調査官たちのメモ書きがある。さらに細かく見ると、羽の継ぎ目などところどころに土や枯れた草などが残っているのがわかる。
「日本航空は事故当初、圧力隔壁などだけを社員教育などのために残し、あとは別の場所に保管する予定でした。しかしその後、この事故を教訓とし、安全な航空会社に生まれ変わろうとの機運が高まり、またご遺族のご意向もありこうした残存部品を保存していくことになったのです」(辻井氏)

「実際にこちらの施設がオープンするきっかけになったのはどういったことだったのですか?」(渡辺氏)
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