車の電力を家庭内コンセントで使うには?

 関東三菱自動車販売の電動 DRIVE STATIONには、アウトランダーPHEVを使った「V2H」の生活を体験できるブースが設置されている。

 大雪による停電をアウトランダーPHEVで乗り越えた前述の例の場合、車から延長コードを家の中まで伸ばし、これに電気スタンドなどの家電を接続して使用した例だ。これも「V2H(Vehicle to Home)」といえばそうなのだが、三菱自動車の想定する「V2H」はもう少し先を見ている。

「これだと元からある部屋のコンセントは使えない。つまり、家庭の配電盤に直接PHEVの電流を流して使うことができないということです。電気の安定供給を実現するため、現在の法律では、東京電力などの電力会社から送られてくる電気と家庭の発電機で作る電気は別々に扱わないといけないことになっているのです」(渡辺氏)

「それを一緒に利用できるようにするのが家庭用の太陽光発電システムを利用した『V2H』です」(小野氏)

 東京電力などの電力会社から送られてくる電力は交流だ。従って、家庭内にある各種の電気製品は交流電力によって動くようになっている。一方、太陽光発電やPHEVで発電するのは直流電力である。中間に変換装置を挟まなければ電気製品で使うことはできない。

 住宅用の太陽光発電システムは、屋根の上などに設置したパネルで太陽光エネルギーを取り込むことで太陽光電池が発電した直流電力をパワーコンディショナー(パワコン)と呼ばれる装置で交流電力・電圧・周波数に変換し配電盤へ入れる。その配電盤に入れた電気を家庭内の電気製品が使用するわけだ。

 ただし、アウトランダーPHEVやプリウスPHVの車内アクセサリーコンセントからは直流を交流に変換した100V、1500Wの電力を、延長コードなどを使用して直接家の中へ供給できる。 

 関東三菱自動車販売の電動 DRIVE STATIONには三菱電機の太陽光発電システムが設置されている。これに使われている『三菱電機EV用パワーコンディショナ(変換機)』にアウトランダーPHEVをつなぐことで、車から供給する電力も家庭内で使える交流電力に変換できる。その結果、本来のV2Hが実現するわけだ。

 では、アウトランダーPHEV1台でどれぐらいの家庭内電力の需要が賄えるのであろうか?

「アウトランダーPHEVは1500Wの電力を供給できます。ところが一口に1500Wといっても、それがどれほどのものなのか、なかなかイメージがわかないのではないでしょうか?」(小野氏)

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