“防災の鬼”で車好き。今回の企画のために生まれてきたような渡辺実氏。昨日公開した前編では三菱自動車のプラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」の自動車としての能力について語った。ここからはこの車を使った「V2H(Vehicle to Home)」の実力を見ていく。「PHEVによるV2H」という文字面だけではイメージが湧かない。実際はいったどんな世界なのだろうか、関東三菱自動車販売の次世代店舗「電動 DRIVE STATION」にて渡辺氏が完全リポート。

まずは写真をご覧いただきたい。
「これは一昨年、岐阜の高山市が大雪に見舞われたときに撮影されたものです。雪の重みで電線が切れたのか、かなり広い範囲で停電になりました。そのときにアウトランダーPHEVのオーナーさんが車から電気を家の中に取り込んで、1週間を過ごしたのですが、これが第1日目の様子です。オーナーさんご本人から提供いただきました」(三菱自動車国内営業本部国内企画部部長付の小野勉氏)
「私たち専門家は、被災物資の備蓄は1週間分が基本だと指導します。これは1995年の阪神・淡路大震災から変わりました。なぜかというと、このときに電力会社の復旧能力から逆算されたのです。阪神・淡路大震災以前は備蓄は3日分って言われていた。ところが一度あれだけ大きな災害が起こると、電気の復旧に1週間はかかるということがわかった。だから内閣府も含めて電気の復旧には1週間かかると考えたほうがいいとの結論になったわけ。東京都の被害想定でも電力復旧には6日間としています。そうしたところから現在では被災物資の備蓄は1週間分が基本になったわけなんです」(渡辺氏)
熊本地震の際、電力が完全に復旧したのは発災から5日後だった。こうしたところからも渡辺氏の指摘が正しいことがわかる。
「被災後の生活を支えるのはやっぱり電力。でも電気は備蓄ができない。もし自家用車で電気の備蓄や発電することが実現できれば、停電になっても恐くないわけですよ。あとは家がちゃんと住める状態なら、避難所などに行かなくても生活できる。もっと極限で考えると熊本地震では余震が恐くて、車中避難が多かったですね。車中避難する場合でもこの車の中で100ボルトの電気が使えますから炊飯器でご飯を炊いたり、電気毛布で暖を取ったり、それこそパソコンで情報の収集・発信も可能になったり、車中避難も全然怖くない。これを可能した車がアウトランダーPHEVなんです。岐阜の体験談がなによりこれを証明している。私が防災・危機管理ジャーナリストとしてこの車に興味を持つのはそうした能力があるからなんです」(渡辺氏)

写真左はアウトランダーPHEVから家の中にコードを引き入れ、電気スタンドを使っている様子。写真右は同じようにお風呂場の明かりを灯した様子だ。
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