女子のこだわりを生かして商品化

「主なターゲットは私たちと同世代の20代の女性。実はここって“防災している人”が少ないんですよ。だからまずはこの年齢層に向けて防災を発信していこう、という考え方のもと活動を始めました。自分たちの周りだけだったら口コミで十分ですけど、それには限界があります。口コミの届かないところにどうアピールするか、そこを考えると、“わかりやすい防災”“おしゃれな防災”というようなことをどんどん考えて、発信するってことに行き着くんです」(田中氏)

 そうした意識を「おしゃれな防災グッズ」という形に落とし込んで誕生したブランドが「SABOI」だ。例えば、ドレッシーな装いにも耐えられるパンプスとして「POCKETABLE SHOES」を発売した。

2014年3月から1年間発売した「POCKETABLE SHOES」。価格は3132円で1000個を完売した
2014年3月から1年間発売した「POCKETABLE SHOES」。価格は3132円で1000個を完売した
これならドレスにでも合わせることができる。ソールが丈夫に作られているので、長時間の歩行にも耐えられる
これならドレスにでも合わせることができる。ソールが丈夫に作られているので、長時間の歩行にも耐えられる
ポーチを開くと、トートバッグに早変わり、履き替えた靴はこれに入れて持ち運べる
ポーチを開くと、トートバッグに早変わり、履き替えた靴はこれに入れて持ち運べる

「『SABOI』は“防災”をもじりました。この靴なら帰宅困難者になってもおしゃれを貫くことができます。女子ってそういうところにこだわるんですよ(笑)。底が硬くて20キロメートル以上歩いても大丈夫なように作りました。帰宅困難時だけでなく、例えばパーティや結婚式のときってドレッシーな装いになりますね。でもピンヒールでは素早く行動することや遠くに逃げることができません。だからドレスの足元はこのSABOIのパンプスを履いて、会場についたらヒールに履き替える。そうした使い方もできます。ポーチは開くとトート型になるから、履き替え用のヒールを入れて持ち運ぶこともできるように工夫しました」(田中氏)

「田中さんが時々口にする“防災する”っていうフレーズはいいですよね。僕らおじさんにはとても新鮮です(笑)。水と安全はタダと言われてきた日本の姿が大きく変わっています。防災はそこにあるものではなくて、見つけ出して実践していくものなんですね。だから防災する。例えば“スポーツする”といえば机の上でスポーツの歴史や理論を学ぶことじゃないですね。同じように“防災する”とは具体的に行動して、やってみて、自分のものにしていく、そうしたメージがあるんでしょう。もっと防災する人が増えるといいですね」(渡辺氏)

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