遊び感覚の避難訓練を企画

「実は私もずっと“リアル”ということについては考えていました。リアルな感覚を取り入れた実体験型の避難訓練というようなことをやっています」(田中氏)

 防災ガールが実施しているのは、『LUDUSOS(ルドゥオス)』と名付けたゲーム感覚の避難訓練。これまで東京の渋谷や二子玉川などで行ってきた。2016年は9月以降に秋葉原などで開催の予定だ。

今年3月13日に二子玉川で開催した『LUDUSOS』の様子。70人近くの参加者があった
今年3月13日に二子玉川で開催した『LUDUSOS』の様子。70人近くの参加者があった
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「LUDUSOSは自分たちで作った言葉です。LUDUSというのが古代ローマの言葉で訓練所という意味。これにSOSを付け加えて LUDUSOSにしました。位置情報ゲームを活用した避難訓練で、参加するときには位置情報ゲーム『Ingress』というアプリをスマホにダウンロードしてもらい、これを利用しながら進めていきます」(田中氏)

「まさに絶体絶命都市と同じ感覚の試みですね。最初は遊びとか楽しみでいいんですよ。それを通していつの間にか防災の意識や知識が身についていく。理想ですね」(渡辺氏)

「ありがとうございます。Ingressはもともとグーグルが作ったソフトで、グーグル・マップを使って行います。LUDUSOSの大枠は、大規模災害が起こったと仮定して、マップを見ながら避難場所や帰宅困難者支援ステーションなど防災・災害に関係する場所を見つけ出すというものです。参加者には方角と距離だけを伝え、あとは自分たちだけで見つけ出してもらいます。

 さらにミッションとして、過去災害があった場所に行ってもらい、『ここではどんな災害が起きたでしょう』といったクイズにも答えてもらいます。正解すれば次のミッションに進むことができる。そうしたロールプレイング的なゲーム感覚で防災を学ぶのがLUDUSOSです」(田中氏)

「次の巨大災害が来るときは、今の20~30代の方々がいろいろな意味で頑張らないといけません。だからこの年齢層の防災意識の高まりは日本を救うことにもつながるんですよ。そうしたところに訴求する防災本、グッズ、などを考えていくことが急務ですよね。

 しかし、例えば本を1冊作るにしてもただ漫然とやっていたのではだめです。普通、防災関連のような書籍は書店奥の専門書の棚に追いやられてしまいます。そこで僕が考えたのは、サブカルチャーの棚に並べてもらえるような本を作ること。そうした意識から生まれたのが『彼女を守る51の方法』だったり、『大地震にそなえる 自分と大切な人を守る方法』(中経出版)だったりするわけです。『彼女を守る51の方法』はもう一歩進めて、漫画にもしました。同じようなことを田中さんも考えていらっしゃるわけですね」

 話をし始めてから10分と経たないうちに、盛り上がる2人。ここで“防災の鬼”渡辺氏、そもそもの疑問として、「田中さんはどうして防災の道に進むことになったのですか?」と問いかける。

「大学は京都の学校に通っていて。そこでは災害とか防災のことには全く疎くて、興味もなかったんです。研究もしていませんでした。何しろ大学時代の専門はインド文化ですから(笑)。そして就職はIT系の広告代理店です。入社後はソーシャルゲームのプロデュースを行っていました」(田中氏)

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