今やアメリカの大統領さえも重要な発言につかうほどSNS、特にツイッターの重要性は高まっている。日本の自治体や官庁もほぼすべてがツイッターのアカウントを持っており、日々の情報発信に役立てている。今回“チームぶら防”が潜入するのは東京桜田門にある警視庁警備部災害対策課だ。平日は毎日1回以上、防災に関するアイデアなどを発信する同課のツイッターが、飛ぶ鳥を落とす勢いでフォロワーを伸ばしているのだという。
警備部災害対策課のツイッターが人気だと聞きつけた“防災の鬼”渡辺実氏は4月某日、警視庁本部を訪れた。
「先日3月11日のラジオ番組、ニッポン放送報道スペシャル 東日本大震災から7年『本気の備えはできていますか?』にゲスト出演したのですが、そこでもこの警視庁警備部災害対策課のツイッターを取り上げました。だけどこのツイッターは画像がかなり重要なんですよ。残念だけどラジオでうまく伝わったかどうか。それでぶら防であれば画像も紹介できると、今回、大々的に取り上げることにしました」(渡辺氏)
取材にご対応いただいたのは警視庁警備部 災害対策課・警視山下桂一氏と同警部・村田尚徳氏だ。
「防災に関するアイデアなどをツイッターで発信し続けるというこの取り組みですが、そもそも始めたきっかけは?」(渡辺氏)
「東日本大震災が発生したときに、情報発信というものが非常にクローズアップされました」(村田氏)
「確かに、あのときは誤情報も含め様々な情報が錯綜し、日本中が混乱しましたね。まさに東日本大震災から大震災時のSNSのあり方が、本格的に議論が始まりました」(渡辺氏)
「災害の情報を受け取るためには、そうした情報に興味を持っていただく必要がある。スマートフォンの普及もあってSNSのユーザーが膨大に増えました。こうした時代の流れのなかから、身近な防災の知識をツイッターで発信していけばいざという時に有効だろうという考えのもとに2013年1月にスタートしました」(村田氏)
「これまで通算のツイート数はどのくらいですか」(渡辺氏)
ツイートは20人の課員で対応
「1800回ほどです(18年4月現在)。基本的に平日の毎日、1日1ツイート以上を発信することにしています。警視庁警備部災害対策課には60人ほどの課員が在籍しているのですが、そのうち20人ほどが持ち回りでツイートを担当しています」(山下氏)
「ということは月に1回くらいの割合で当番が回ってくるということですね。けっこう大変でしょう」(渡辺氏)
「みんな日々アンテナを高くして、防災関連の知識やグッズを探していますよ」(村田氏)
「担当の20人はどのような背景をもった課員なんですか」(渡辺氏)
「なるべくいろいろなパーソナリティを集めるようにしています。釣りを趣味としている人間、元レスキュー隊員、料理好き、ペットを飼っている者、新婚、子育て中の人間。女性課員も3人います」(村田氏)
「1800回も発信していたら同じような内容のツイートも多いのではないですか。そうしたことを含めた情報のクオリティチェックはどういうシステムになっているのですか?」(渡辺氏)
「私を含め課員が自分の目でチェックしています。なので必要に応じて『過去に全く同じものをツイートしたので別のものに変えてください』といった注文を出すことがあります」(山下氏)
同ツイッターの現在のフォロワー数は70万人ほど(18年4月現在)。ちなみにこの数字はブルゾンちえみや赤西仁などよりも上だ。小池都知事よりも上をいっている。官庁系のツイッターランキングでは常にトップテンに入っている。
ということで、今回は歴代ツイートの人気トップテンを前編・後編に分けて発表する。前半は10位~6位までをご覧いただく。
※「リツイート」と「いいね」の数を合計した数字(取材時点)でランキング
2013年11月28日
災害と切っても切れないのが停電だ。地震、台風、大雪など、停電が起こるケースが少なくない。そんなときに大切なのが夜の明かりだ。日常目にするこんなものがランプになるなんて驚き。
実際にこうしたかたちでツイートされる。借り物の画像ではなく、担当の課員が自分で試して自分で撮影した画像が使われる。
「著作権フリーなのでいくらでも拡散してください」(村田氏)
ちなみにこれは女性課員によるツイート。“油が減ってヘルシーかも”と女性らしい一言も人気の秘密か。
公衆電話、使ったことありますか?
2018年3月26日
これぞ盲点。大人の目線からではなかなか生まれてこないツイートだ。小さなお子さんがいらっしゃるご家庭なら是非ともお試しを。
「現在、公衆電話は全国的に減っているのですが、災害時でもつながる“災害時優先電話”になることを忘れずに。また、ワンプッシュで消防や警察につながるのでもしものときは便利。子どもだけではなく、公衆電話を使ったことがない若い学生も多い。日ごろから置いてある場所を確認しておきましょう」(渡辺氏)
2017年7月18日
逃げるときはいかに荷物を減らすかが勝負。防災バッグの中身はなるべくコンパクトにしたい。そんな場合のアイデア。
「トップテンからは外れていますが、トイレットペーパーも同じ方法で小さくできます。是非お試しあれ」(村田氏)
前編はここまで、後編ではトップ5の発表だ。
順風満帆に見える警視庁警備部災害対策課のツイッターだが、実は過去に炎上しかかったこともある。そうしたことから学び、さらにおもしろくなった同課のツイートの裏の裏を覗く。
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