廃炉に向けた工法を検証

 福島第一原発の廃炉は「冠水式」という工法が検討されている。その詳細を小島氏が解説する。

「福島第一原発の廃炉に向けた行程は、瓦礫の処理と燃料デブリの処理が2大作業です。燃料デブリの処理に関しては、冠水工法と気中工法とがあります。今年の夏にどちらを使うかというのを国がみきわめることになっているのですが、当施設では冠水工法についてその実証実験を行っています。

原子炉建屋の内部。楢葉遠隔技術開発センターのパンフレットより

 原子炉建屋内部はコンクリートを取り除くと、格納容器とサプレッションチャンバいわゆる圧力抑制室が現れます」(小島氏)

 圧力抑制室(サプレッションチェンバ)とは原子炉格納容器をぐるりとドーナツ状に取り囲む施設だ。これが8本のベント管で原子炉格納容器とつながっている。

 原子炉の温度が上がれば、圧力抑制室の冷却水が冷やす仕組みなのだが、現在これが機能していない。何かしらの原因で冷却水が漏れ出しているからだ。

「現在も冷却水は1日に3~4トンほどを注入しているのですが、圧力抑制室の水位は30センチメートルほどだと観測されています。つまりどこからか漏れているわけですが、それがどこなのか、はっきりしたことは解っていない状況です。ただ、様々な状況証拠を考え合わせると、漏れの原因は圧力抑制室にあるのだろうと推測されます」(小島氏)

冠水工法を説明する来場者に向けたパネル

 サプレッションチェンバのまわりは当然放射線量が高い。ただ短い時間であれば人間が実際に行くことができる場所である。

「サプレッションチェンバの真上の床に穴を開けます。次にアーム型のロボットを設置しこれを遠隔で操作することになります」(小島氏)

 ボディーにロボットが穴をあけ、さらにその中にあるベント管のボディーにも穴をあける。その穴に風船状の機材を折りたたんだ状態で投入し、中で膨らませるのだ。こうすることで、ベント管に栓をする。

「それでも隙間ができると思うのですがそれは?」(渡辺氏)

「おっしゃる通り、どうしても隙間ができますからそこに樹脂系の補助充填剤を入れて固めるわけです。このように完全に隙間を塞いだ後に水を注入し、格納容器を一杯にします」(小島氏)

実験棟で見ることができる水中ドローン。「現在はさらに進化したものが開発されています」と小島氏

 燃料デブリを取り出すにはある程度の水位が必要だ。本体から取り出すためにデブリを切ったり削ったりの作業が行われる。格納容器が水で満たされていれば、これが遮蔽物の役割をして、粉塵などをまわりに拡散するのを防いでくれる。

 そんな場面で活躍するのが水中ドローンだ。遠隔操作で水中を移動し、中の様子を伝えてくれる。

 実験棟には水中での作業を再現するための巨大水槽も完備されている。

 下の写真にある大きな筒が水槽だ。小窓があり、そこから水中ドローンの様子を見ることができる。ドローンのカメラが渡辺氏の顔をキャッチした瞬間がモニターには映し出されている。

左のモニターに映っているのは水中ドローンからの映像