福島県楢葉町にオープンした『楢葉遠隔技術開発センター』。福島第一原子力発電所の廃炉に向けた様々な実験を行う施設だ。研究管理棟には原発内の様子をバーチャルで再現する施設。試験棟には圧力抑制室のモックアップを設置し、廃炉作業の効率的な方法や実際の作業の流れを再現・検討している。また施設は民間への貸し出しも行われており、地元企業や自治体が利用することでイノベーションの萌芽を生み、新たな雇用などへと繋がることが期待されている。そんな施設を”防災の鬼”渡辺実氏が視察。前編に続き今回は、各施設の実際をお届けする。

前回に続き、案内してくれるのは日本原子力研究開発機構福島研究開発部門次長の小島久幸氏(左)

 研究管理棟にあるVR(バーチャルリアリティ)システムを体験する渡辺氏。大きなヘッドセットをつけるタイプではなく、3つの壁に画像を投影し、そこに三次元を再現するメガネをつけて入ることでよりリアルな「没入感」を得られるものだ。

VRシステムの説明。楢葉遠隔技術開発センターのHPより

「こちらで原発内の様子を正確に再現します。例えば何かしらの機材を持ち込むにしてもそれが入るだけのスペースが施設内にあるのか。そうしたことをバーチャルではありますが実体験に近い感覚を得ながら見ることができるのです」(小島氏)

「実際に1F(福島第一原子力発電所)には観測用のロボットを投入していますね。そうしたロボットたちが撮影した映像や実測してきたデータなどをこちらにフィードバックし、VR映像をより実際に近い形に更新することもできるのですか?」(渡辺氏)

「可能です。実際にそうしたことが計画されています。VRシステムも広い意味でいえばシュミレーターです。つまり実験施設であるということです。仮想現実空間にロボットが測定してきたデータを反映させることもできるし、それ以前に投入するロボットをまずはこちらの仮想空間で稼働させてみることもできます」(小島氏)

「なるほど、そうした仮想空間での実験データをもとに、つぎに試験棟のモックアップで実作業の方法を検討するということですね」(渡辺氏)

メガネの両サイドについている「マーカー」の動きを本体が察知して映し出される画像が変化する