送電のイメージは高速道路

 中央給電指令所のおかげで滞ることなく運ばれる電気は、具体的にどのようなルートを経て我々の家庭まで届けられるのか。

「高速道路をイメージすると分かりやすいかもしれません。発電所で作られた電気はまずは広くて信号機のない高速道路を通って首都圏までやってきます。この高速道路を通る電圧が50万ボルトと27万5000ボルト。高い電圧にすることで大量の電気を運ぶことができます。そして一般道に降り、国道やもっと細い県道に分かれていき、最終的に家庭や事業所にたどり着きます」(堀内氏)

「家庭で使う電圧が一般的に100ボルトだから高速道路の電圧は5000倍なんですね」(渡辺氏)

「はい、そのままでは使えないから各拠点にある変圧器で電圧を下げます。家庭用は100ボルトですが、相手が事業所だと『工場で15万ボルトが必要』という注文もあります。そうしたお客様の要望通りの電気を運ぶのも電力会社の役目です」(堀内氏)

送電のイメージ
送電のイメージ
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「上の図で『基幹系統』とあるのが『高速道路』です。275kVというのは27万5000ボルトということ。都心部には50万ボルトと27万5000ボルトの高速道路がきている。『架空』とあるのは鉄塔を伝って張りめぐらしてある空中の送電線です」(堀内氏)

「そこで気になるのが、2016年の10月に新座市で起こった地下の送電ケーブル火災です。上図でいうと、赤色の●で示された変電所から伸びる赤色の点線。これが切れたことになります。

15:30に練馬変電所(約37万件)が停電するが8分で送電。15:38に豊島変電所(約23万件)が停電し10分後に送電。配電系統の完全な復旧は最初の停電から63分後だった
15:30に練馬変電所(約37万件)が停電するが8分で送電。15:38に豊島変電所(約23万件)が停電し10分後に送電。配電系統の完全な復旧は最初の停電から63分後だった
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 おかげで都心に大規模な停電が発生したわけですが、当時の東電の発表だと、燃えたのは金属製の導体に油を染み込ませた絶縁紙が何重にも巻 かれた旧式ケーブルだった。なんと35年も使われ続けていたケーブルです。順次リニューアルをしているようですが、ウィークポイントであることに変わりはない。

 またそれ以外の東京電力が所管する鉄塔など、首都直下などの大規模な地震が起こった場合にウィークポイントとなりそうな施設を含め、全体の耐震工事はどのくらい進んでいるのですか?」(渡辺氏)

「それぞれの部門が行っている耐震対策について、進捗状況を数値として取りまとめているものは今のところないのですが、それぞれの部門において必要な対策を、各所で定めた優先順位に従って地震対策を行っている状況です」(堀内氏)

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