実際の風景とハザード情報を合成
実際のアプリを見せてもらった。
「アプリは主に各自治体からの要請によって制作します。現在9カ所の自治体のハザードスコープが公開されています。各自治体で想定する災害が違います。例えば神奈川県の茅ヶ崎市版などは津波浸水を中心に作られているのですが、海から遠く離れた自治体であれば津波浸水よりも地震や土砂崩れなどの危険周知が重要になってくるわけです。そうしたことからアプリに搭載するハザードデータは各自治体が選択できるようになっているのです」(河原氏)
「AR」、すなわちAugmented Realityは日本語では「拡張現実」と表現される。現実の風景にスマートフォンのカメラをかざすことで、その場所に関する情報が図や画像、文字情報などで確認できるといった技術を指す。
ARハザードスコープはこの技術を応用したアプリだ。実際の風景にスマホやタブレットをかざすことでハザード情報を合成して表示する。例えば浸水の深さであれば、人や建物と水のCGを重ねてみることができるのでイメージしやすい。
基本となる避難所情報に加えて、上図のようなハザード情報を選択追加できる。
「すでに導入している自治体が、それまで想定していなかった情報をあとから追加することもできるんですか?」(渡辺氏)
「可能です。加えて既存のデータについても定期的に更新していくのが理想です」(河原氏)
「熊本の地震からまもなく1年になろうとしますが、熊本は台風などの備えはあったのですが、地震が起こるなんて考えてもいなかった。だから被害も想定外に大きくなってしまったし、その分復興にも手間取っています。そういう視点からすると、すでにこのアプリを導入している自治体が追加の注文をしてくることも考えられるでしょうね」(渡辺氏)
Powered by リゾーム?