ここまでNBC災害に対するハイパーレスキューの活躍について述べてきたが、彼らの活躍はこれだけにとどまらない。

「隊の名称にもあるように我々は『消防救助機動部隊』です。NBC災害に対応する資機材や知識に加え、救助の技術もあります。この2つを組み合わせることで複雑な事案にも対応できるのです」(高橋氏)

「複雑な事案とは、例えば大規模地震などの場合は火災や建物の倒壊など、さらに化学施設からの有毒物質の漏洩などもあるかもしれない。そういう複合的な災害にも対処できる。という意味ですね」(渡辺氏)

 そうした第三消防方面本部の活動を象徴する2種類のロボットを見せていただいた。

人を体内に格納する救助ロボット

 まず通称「ロボキュー」。かわいらしい呼び名だが、どんなタフな現場でも活躍できるように様々な工夫がなされている。

 銀行のATMほどの大きさの遠隔操縦台に2本のレバーとパソコンのマルチ画面を搭載している。これを使って離れた場所にある本体を操縦する。

遠隔操縦には渡辺氏も興味津々だ
遠隔操縦には渡辺氏も興味津々だ

 ロボット本体の重量は1.5トン。無線であれば最大50メートルの遠距離から操作可能。さらに有線であれば100メートルまでコードを伸ばせる。時速4キロメートルほどで対象物に近づき、行く手に障害物があれば2本のアームで取り除くこともできる。

 そして、救助すべき人を見つければ、お腹の部分からベルトコンベアーを出して、体内に抱き込むように救出する。 

 収容した人の顔の部分にカメラが来るように調整されているので、ロボキューを操作する隊員は、救助者と会話をしながらその後の救助を進められる。まさにかゆいところに手が届く救助ロボットなのである。

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