約1年ぶりの利上げは既に織り込み済みであったが、市場は3カ月に一度公表される「ドット・プロット」と言われるFOMCメンバーに拠る政策金利見通しにやや過剰に反応した。FRBはタカ派に転じたと見た債券市場では長期金利が2.6%にまで上昇、7月に付けた1.3%台から「倍増」したことになる。トランプ氏が大統領選挙に勝利して以来、市場にはその財政政策がインフレ率を押し上げるとの観測が強まっており、このFOMC声明文が金利上昇見通しをさらに強めることになった。市場には「FRBは2017年に3回利上げ」との見方が広がっている。

 だが正確には、何人かの委員がトランプ氏の財政支出拡張をインフレ要因と見做して利上げ予想回数を2回から3回に引き上げた、ということに過ぎない。その人々が2017年に投票権を持つ委員なのかどうかも不明である。FRBの景気・雇用・物価見通しは殆ど変わっておらず、慎重な金利水準調整という方針も不変で、数名の委員がトランプ効果を過大に評価して見通しを変更した、との印象は拭えない。

 2012年から導入された「ドット・プロット」が金融政策予想に殆ど役に立たないことは、過去4年間で実証済みである。FRB内部からも「飽くまで参考意見」と指摘されており、一部には「この政策金利予想は廃止すべき」と主張する向きさえある。

 今年の政策金利見通しとして「年3回の利上げ」と決め打ちするのは早計だ。現時点ではせいぜい6月の利上げくらいしか見通しが利かない。FOMCの動向を予想するにあたっては、「ドット・プロット」よりイエレン議長の言葉の方がより重要になるだろう。

 同議長は「インフレ率は依然として目標値を下回っている」と説明し「金融政策は後手に回っていない」と主張している。そして財政政策に関しては「中身を知るには時期尚早」と述べ、その効果は金融政策に影響し得る一つの要因でしかないと指摘、市場の先走り感に釘を刺している。