米国の金利面では、年初の本コラムで書いたように(「2017年のカギを握る米国長期金利と米中関係」)、FRBの利上げ姿勢を恐れて長期金利が急伸するリスクに注視しているが、現時点では2.5%前後の推移に留まっている。株価が上昇する過程でも、機関投資家が債券を投げ売りするような気配はない。

 但し今月、イエレンFRB議長の議会証言がややタカ派的であったことで、債券市場が3月利上げシナリオの復活を感じ取る場面があった。「待ち過ぎるのは賢明でない」との議長の発言に、それまで次回利上げは6月と読んでいた市場は3月への前倒しを警戒せざるを得なくなったのである。

 穏やかであったはずの「イエレン気流」に変化が生じている気配はある。議長に続いてニューヨーク連銀のダドリー総裁やFRBのフィッシャー副議長も利上げへの前傾姿勢を見せたことで、市場にも「利上げ時期は思ったより近い」との認識が増えている。

 但し、債券市場における長期金利の反応は限定的であり、むしろ金利が跳ねたところで機関投資家が買いに入る場面も見られている。賃金上昇率やコアPCEデフレーターは頭打ちであり、10-12月期GDPも1%台に留まったことなどから、3月に利上げ決定せねばならぬほど差し迫った状況にはないと見る向きが多いからだろう。

 トランプ大統領の財政政策を検討材料にするにも、時期尚早である。4.5兆ドルにまで膨らんだFRBのバランスシートに関しても、同議長は「一定の利上げが完了するまでは再投資見直しには着手しない」と述べて現状維持の方針を示している。正常化に向かっているはずのFRBさえも、実は本格的な緩和からの出口にはまだ遠いのが実状なのである。

 だが議長発言からは、過熱気味の株式市場や警戒感の薄い債券市場を甘やかし続けることは出来ない、とのニュアンスも読み取れる。3月は無理だとしても、6月まで待つことなく意表をついて「5月に利上げ」というシナリオが準備されている可能性は否定出来ない。

「トランプ乱流」に巻き込まれているホワイトハウス

 さてトランプ大統領に目を向ければ、就任以来その政治リスクは高まる一方であり、ホワイトハウスが「トランプ乱流」に巻き込まれている印象は拭えない。世界中が驚愕したイスラム教7カ国からの入国禁止令に関しては司法当局からダメ出しを食らったが、大統領はその後も三権分立を無理するかのような言動を取り続けている。

 人事面ではフリン大統領補佐官がロシア絡みで事実上更迭され、コンウェー米大統領顧問は「イヴァンカ・ブランド」の購入奨励で連邦規則違反の疑いを突き付けられた。フリン氏に代わって指名を受けたハーワード退役海軍中将は見解の相違を理由に辞退、また労働長官に指名されたパズダー氏も共和党内の反対に遭って辞退を表明するなど、まるでドタバタ劇である。