國井:エッジ・オブの開所記念ですか、それも含めて、このビルでは昨年3月に「TEDxShibuya」を開催しましたよね。その節は私も登壇の機会をいただいてありがとうございました。

マスイ:「広める価値のあるアイデア」をシェアするのが「TED」の哲学で、「TEDxTokyo」を立ち上げたトッド・ポーターはEDGEofの役員でもあるんです。そこでEDGEofで表現していきたいことを体現している方々、國井さんをはじめ、渋谷区長、クリエーティブヘッドの方などをお呼びしました。

國井:ケンさんは同時にMr Childrenのミュージックディレクター、クリエイティブディレクターも務められている。どのようなきっかけで関わることになったのですか。

マスイ:2005年に愛知万博が開催された際、地元でDJをしていたんです。「音楽と自然エネルギーに興味がある面白い奴がいる」ということで、アーティストの小林武史とMr Childrenの当時の所属事務所「烏龍舎」の代表と話す機会があり、小林と桜井和寿が中心となって設立した「ap bank」という非営利組織に関わるようになりました。その流れで2007年に烏龍舎に入社しました(現在は退社)。

國井:DJからなぜミュージックディレクターに?

マスイ:DJ時代は週にアルバムを200枚ほど聞き、年間150本ぐらいライブに行っていたんです。膨大な量のコンテンツを耳にすることで、誰がどう演奏したらこの音が鳴るとか、どういう思いでこの曲を作ったとか、音楽の基本的なことが分かるようになってきて。烏龍舎は僕以外は全員ミュージシャンなんですが、彼らの音楽の方向性などをアドバイスしていたんです。Mr Childrenについては、2017年の25周年ツアーからミュージックディレクターを担当して、2018年秋発売のアルバム『重力と呼吸』からは、作品の方向性を決めるクリエーティブディレクターも担当するようになりました。

音楽もビジネスも本質は変わらない

國井:ご活動の範囲が本当に広いですよね。

マスイ:ただ僕にとって、音楽を作ってアルバムを出すことと、EDGEofで人を集めてプロダクトを出すことは何も変わらなくて。この人に弾いてもらったらこう聴こえるとか、この人にジャケットを描いてもらったらこう見えるとか、このフォトグラファーに撮ってもらったらこうなるとか。ビジネスでもそんな風に適材適所を考えて、何かを生み出すことが好きなんですね。

國井:面白いですね。私が関わっているグローバルファンドでも、一番重要なコンセプトはパートナーシップ、多くの多様な人や組織に協力してもらって、最終的に大きなプロダクトを出すことなんですよ。世界を席巻した地球規模課題の感染症パンデミックは、セクシャルマイノリティやストリートチルドレン、受刑者など、様々な事情や課題を抱えた人たちに襲いかかり、またそのような人々からさらに広がっていくわけです。政府、国際機関、企業、市民社会など、様々な組織や人をいかに集めて、一緒に化学反応を起こしながらシナジーを作っていくか、それによって最終的な問題解決につなげるか、そこが重要です。

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