今後、アフリカの開発を総合的に支援していくには、ODA(政府開発援助)とNGOの連携、さらにそのような援助と民間企業による投資を協調・連携させていくことが重要である。

 たとえば、前述の私が実施していた事業で、多くのワクチン、治療薬、診断機器、栄養剤、水・衛生に関わる資機材などを購入したが、日本製品と言えばトヨタの車、住友化学のマラリア予防の蚊帳くらいで、欧米、インドなどからの調達・購入と比較するととても少ない。世界の民間企業の中には、アフリカの栄養不良で死亡する子どもを救うにはどのような栄養剤を作ったらよいか、安全な水を安価で広範囲に提供するにはどのような技術を駆使したらよいか、などの開発課題を真剣に考え、大学・研究機関などと連携し、製品開発をした後はODAやNGOを通じて現地に導入・拡大しているところも少なくない。

 日本の技術力なら現地のニーズに応えてこんなことができるのでは、あんな製品が作れるのでは、とよく考えることがあった。しかし、残念ながら、私がこれまで援助に携わってきて、日本の民間セクターとの連携はなかなか現実のものとならなかった。

アフリカの課題は世界の課題である

 「アフリカ問題の解決なくして21世紀の世界の安定と繁栄はなし」といわれているが、まさにアフリカは21世紀に世界に繁栄をもたらす多くのポテンシャルを秘めている。中国、アメリカ、西ヨーロッパ、日本、アルゼンチンを合わせた広大な面積に、多くの地下資源、農耕可能な土地、さらにその周りには豊かな海洋資源がある。現在12億の人口を抱え、平均年齢はおよそ21歳、世界で若年層の割合が多い地域といわれているが、2050年には人口は倍増し、2067年には世界で若年層が最も多く住む大陸になるという予測もある。莫大な市場と爆発するパワーがそこに漲るのである。

 その一方で、1日1人当たり約200円以下の生活を強いられる貧困層がアフリカには現在なお約5億人おり、飢餓または栄養不良状態の人々が200万人以上もいる。国が経済発展しても富は一部の富裕層に集中するため、貧富格差は拡大するばかりである。

 私が現在取り組んでいるHIVの問題にしても、アフリカは2000万人近くのHIV陽性者を抱え、新たな感染者は年間約100万人にも上り、これらの人々の半数程度にしか薬がいきわたっていない。

 さらに、エボラ熱流行のように、アフリカに潜むまたは新たに生まれる感染症が世界の脅威にもなっている。アフリカの問題は世界にも広がる課題にもなりうるのである。

 このようなアフリカの光と影に対して、世界は、そして日本はどのように援助と投資を連携・協力させていけばよいのだろうか。アフリカの自立と発展を支えながらも、世界、そして日本の繁栄にもつなげていけばよいのだろう。

 TICAD VIは様々な問いかけをしてきた。3年後、次のTICADが楽しみである。