では、これらの支援で、本当に「女子力」を上げることができるのだろうか? エイズを減らすことができるのだろうか?

 少なくとも、私が訪れた地域では明らかな「インパクト」が見られた。

 たとえば、最近訪れたアフリカのウガンダ。1990年代はHIV感染が地域によっては3割に達し、女子の中等教育の就学率は男子の半分以下、女子の非識字率は50%以上。男性による家庭内暴力が4割以上と高率であっても、女性は物言えぬ存在であった。

 それが、女子力を高め、HIV感染を下げるために前述のようなプログラムを行ってきた地域では、初等・中等とも女子の就学率は男子と同等かそれを超え、職業を持つ女性が増加し、女子のHIV新規感染率は極端に減少した。私が訪れた地域では、参加者のすべてにHIV検査を定期的に行っているが、プログラムに参加して「女子力」がアップしたグループではひとりもHIVに感染していないという結果が出ている地域もある。

教え合い、学び合い、進む

 参加者である16歳の女子に話を聞いたところ、「私は以前は自分にまったく自信がなかったけれど、この1年間ですごく自信や自尊心がつきました。どうしたらHIVに感染しないか、今きちんとわかっているし、今つきあってる彼氏から誘われても、コンドームをしなきゃだめよ、ときちんと断ることができます」と言い切って、周りの女子から拍手を受けていた。

 別の女性は、「私はトレーニングを受けて、今はドレッドやブレイズ(アフリカの髪型)をとてもうまく結えるようになったわ。村の人たちの髪を結ってあげるととっても喜んでもらえるし、いいお金をもらえる。男の人に頼らなくても、援助交際をしなくても、今は生きていけるの」。

 また、別の女性は、「学校で勉強を続けられるようになったことが今はとても嬉しい。奨学金をもらって、私は大学まで行って勉強したいわ。エイズで苦しむ女性のために仕事がしたいの」と目を輝かせながら話してくれた。

 介入のインパクトを数字で示すことも重要だが、時に、その場に行って、参加者の満足感、自信やモチベーションなどを、言葉の強さ、顔の表情や目の輝きを見て「感じる」ことも大切だ。

 シャイであまりものを言わず、私のような外部者が質問すると、滅多に自分の意思を伝えることのなかった村の女子が、私の前で、また多くの人々の前で自信をもって、自らの言葉で積極的に話していた。これだけでも私には大きな驚きだった。

女子同士の学び合い、助け合い、成長について力強く語ってくれた(ウガンダにて筆者撮影)

 さらに、現場で感じたことは、これらのプログラムに参加するだけでなく、女子や若い女性が主体的かつ積極的に企画・運営をすることの重要性である。

 プログラムを開始する時は、もちろん外部の年上の専門家・経験者の介入・協力が必要だが、最終的にはその地域毎に15-24歳の若い世代の女性の「ピア(仲間)・リーダー」が育ち、ピア同士で教え合い、学び合い、また次の世代のリーダーを育てていく過程、それ自体が「女子力」の創生、エンパワメントなのである。

 またこのプロセスは、個々のエンパワメントのみならず、女子同士が団結し助け合うソーシャルネットワーク構築にもつながる。個人では対処できない問題が多い社会では、女子同士の連携・連帯による問題解決、社会変革が必要なのである。

 世界では、15-24歳の若い女性のHIV感染を2020年までに現在の3分の1以下に下げようとの目標を掲げている。が、現在の努力ではこの目標達成は不可能だ。

 そこで今、我々が力を入れているのは、この若いの女性のHIV新規感染が特に高いアフリカ13か国に対する集中的な支援である。約60億円を呼び水(マッチング・ファンド)として、さらなる女子・女性のエンパワメント、感染予防、診断・治療・ケアへの投資と努力を誘発し、多くのパートナーと支援を促進している。

 これが成功するかどうかは、まさに「女子力」にかかっているのだが、それには男子・男性の真なる理解と積極的な参加も求められている。