確かに、開発途上国では、現地の運転手や家事・子育ての手伝いを低賃金で雇えることが多いので、その助けを借りて、シングルマザーであっても仕事と家庭が両立しやすい、という人もいる。夫がいるとその面倒も見ないといけないので、かえっていないほうがいいという人もいるくらいである。
 そんな女性を見るたびに、「女性は強い」「これからは女性の時代だな」と感じてくる。

「テストステロンの時代の終わり」

 そんな中で、アメリカのジャーナリスト、ハンナ・ロージン(Hanna Rosin)が著した本「男性の終焉:女性の台頭(The End of Men:And the Rise of Women)」は面白く、その主張に頷ける。

 「20万年以上にわたって続いてきた男性優位の時代は終わり、今世界は女性優位の時代に移ろうとしている」との主張である。

 「米国では史上初めて労働力バランスが女性に傾き、女性が労働力の半数を占めるようになり、大学卒業生の5人に3人が女性である」

 「今後10年間に米国で最も成長すると予測される15の職種のうち、13は女性が中心に働いている」

 「男性が体格や体力で優位に立っていた昔の時代とは異なり、現代は社会的知能、開放型コミュニケーション、じっと座って集中する能力といった資質が求められ、そこで勝負すると男性より女性のほうが優位に立つことが多々ある」

など、この本は膨大なデータを示しながら、その主張のエビデンスを淡々と説明している。

 アイスランドで2013年まで首相を務めたヨハンナ・シグルザルドッティルも「テストステロンの時代の終わり」と言っていたが、社会のニーズや様相が変わる中で、男女の立ち位置や役割も変わってくるのは当然だろう。

2013年までアイスランド首相を務めたヨハンナ・シグルザルドッティル氏(写真:ロイター/アフロ)
2013年までアイスランド首相を務めたヨハンナ・シグルザルドッティル氏(写真:ロイター/アフロ)

 男性の時代が終わり、女性が台頭する時代になるのかどうかはわからないが、私自身は男性・女性の二元論で対立させて語るのはもはや時代遅れのような気もする。(これについては、また別のエッセイで詳細に語ろうと思う)

 男女格差が縮小されず、女性の権利が守られないような状況の中では、その権利を勝ち取るための闘いが必要な部分もあるだろう。

 しかし、現在、男女の付き合い方、家庭のあり方も多様になり、地域、国、そして世界で様々な課題が山積する中で、男女がどのように協力し合って課題を解決していくか、WIN_WIN関係を築けるかという視点がさらに重要になってくると思う。

 そのためにも、男女格差の是正に男性もより積極的に参加し、支援していくことが重要であろう。それが、「女性の時代」に向けて、男性も「生き抜く」準備になるかもしれない。

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