仕事が早く終わっても、ついつい「付き合い」で帰宅が遅くなり、家事や子育てを手伝えない。「付き合いも仕事のうち」という口実を使いながら、家事や子育てへの参加を極力避ける男性も少なくないかもしれない。
グローバルな職場では、仕事をできるだけ定刻に終わらせて、その後はすぐに帰宅する人々が多く、職場の飲み会もオフィスで軽く済ませるか、忘年会など大々的にやる場合には家族も招待したり、それほど遅くならないように配慮したりしている。
勤務時間であっても、男性が「今日は子どもを学校に送っていかなければならないので出勤が遅れる」「今日は妻の都合で、私が家で赤ん坊の面倒をみなければいけないので、自宅勤務にさせて欲しい」などの理由が普通に理解され、認められる。
私の同僚でも「今日は私が夕食を作る曜日だ」「子どもの送り迎えはいつも私がする」という男性は多く、部長や局長クラスでも家事や子育てに積極的な人は少なくない。
むしろ、料理も食事の片付けもしない、子どもの送り迎えもせず、学校のイベントなどに参加しないという日本人は、そんな中で恥ずかしい、窮屈な思いを次第に感じてくることが多いのである。
男女格差が今でも大きい日本だが、以前に比べるとかなりの変化がみられるのも事実であろう。女性議員は未だに少ないが、参議院議員の女性の占める割合は、以前の4%程度から5倍以上の20%以上に増えている。医師や弁護士などの女性の割合も増えており、1990年からの27年間で女性医師は約3倍、女性弁護士数は約10倍に増加している。
ちなみに、私が大学(医学部)に入学した当時、同級生の女子学生は約100名中3名、一つ上の学年には1名しかいなかった。それが今では1学年123名中、女子学生は50名を超えることもあるという。
ある大学の教授と話をした時、これまでのような試験を⾏うと、合格者は⼥性のほうが多くなるので、男⼥格差をなくすため(?)数学や物理を難しくする、とも言っていた。
これが本当か冗談かわからないが、最近、話題になっている医大での 「男女数を操作」の記事を見ると、まんざら冗談でもないのかもしれない。
世界的には、女子が男子よりも多い大学医学部・医科大学は結構多く、 アメリカでも2017年の医学校への入学者総数は女子が男子を凌いでいる。 男女格差が甚だしいと思えるイスラム教の国でも、トップ校の大学医学部で女子学生数が男子より多いこともある。
さらに、最近、私の友人であるUCLA助教授の津川友介医師の論文が「死にたくなければ女医を選べ」という形でセンセーショナルにマスコミに取り上げられたが、これもひとつのエビデンスとして男女格差を議論する上で参考になる。
このように医学の世界だけを見ても、「女子は男子より優秀」とのインプレッションはエビデンスにもなりつつある。
グローバルでも目立つ女性の活躍
私が働いているグローバルな世界でも、女性の活躍は目覚ましい。突き動かす夢や情熱が強いのか、行動力が男子より優っているのか、はたまた日本国内の「ガラスの天井」を知ってなのか、海外で活躍する女性は多いのである。
私は今でも、年に何度かは日本の大学や大学院で講義をするが、食い入るようにスライドを見つめ、耳を傾け、活発に質問してくるのはほとんどが女子である。
たまに男子が質問してきたと思うと、「先生、給料はどのくらいもらえますか?」とか、「アフリカとか危なくないですか?」とか、どんな状況でも現場で働きたいという気概のある女子の質問の後に拍子抜けしてしまうのである。
実際に、国連やNGOなどで日本人女性とも働いてきた。アフリカの灼熱沙漠、アジア・中近東の危険な紛争地帯、難民キャンプなどで支援に当たっている日本人女性にも多く出会った。いやあ、そのような女性は本当に根性が据わっていて、現地への適応能力もあり、コミュニケーション能力も抜群で、仕事もできる。
そんな女性たちから、「そろそろ結婚したいので、いい人がいたら紹介してください」と頼まれることが多いのだが、そんな素晴らしい女性に釣り合う独身日本人男性が、悲しいかな、なかなか見つからないのである。「日本男児、大丈夫か!」と活をいれたくなることもある。
このような女性の中には、結婚相手を見つけ、そのまま彼女が仕事を続けて、男性を主夫として海外に連れていき、家事や育児をしてもらうというパターンも増えている。
また、グローバルに活躍する女性の中には、旦那はいらないが子どもは欲しい、という女性も増えている。離婚だけでなく、結婚を前提としないで子どもを授かったり、人工授精をしたり、様々である。
ちなみに、日本ではあまり一般的ではないが、私が一緒に仕事をしてきた欧米の女性の中には、孤児院から子供を引き取って一人で育てている人も少なくない。アジアでエイズ孤児を二人も引き取り、仕事で世界中を一緒に連れ歩き、立派に教育を与えている女性もいる。
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