ボランティアの受け入れやそれに対する情報提供もかなり組織化・体系化されてきた印象だ。被災した市町村の社会福祉協議会が次々に災害ボランティアセンターを設置して、ボランティア活動を効率的に調整・推進させているように思える。

 また、東日本大震災の時に設置の必要性が叫ばれながら、なかなか起動しなかった被災者の健康管理をサポートする「災害時健康危機管理支援チーム」(DHEAT)も初出動したようである。設置して派遣することが目的ではないので、そのパフォーマンスや成果を客観的に評価し、今後の発展・改善につなげていってほしい。

 緊急支援は一般的に、支援をするという行為自体やそのプロセス自体に満足してしまいがちで、そのサービスの質、効果や成果、効率などを客観的にモニタリング・評価(Monitoring and Evaluation:M&E)することの重要性は必ずしも強調されていない。

 しかし、国際的には、大規模な人道支援・緊急支援を実施する際に、M&Eはロジスティクスと同様に重要で、その専門家を緊急に雇用することもある。日常的にデータ・情報を集積・分析して、活動のパフォーマンスや成果を測り、活動の効果や効率を高めていかなければならないのである。特に寄付や税金で頂いた資金をどのように使ってどれだけの支援をしたのか、効果的だったのか、効率的だったのか。きちんと数字などで示して説明する責任がある。

事業継続計画策定の検討を

 さて、豪雨災害の未だ復興支援の中にあって、このような話をするタイミングではないのかもしれないが、今後の検討材料として考えてほしいのが事業継続計画(Business continuity planning, BCP)または、事業継続・復旧計画(Business Continuity & Resiliency Planning, BCRP)の策定である。

 私が働いてきた国際機関では、必ずこれを策定し、定期的に見直し、緊急時にはそれを活用してきた。

 簡潔に言うと、これは非常事態が発生した場合に、組織・団体が具体的にどのような対応をし、本来業務をどのように停止、または継続・変更し、どのような時期にどのように再開するか、それに対してどのような準備・行程が必要か、などを計画として作成したものである。

 組織・機関が所在する国・地域で、どのような緊急事態・非常事態がどのくらいのリスクで起こり、そのインパクトがどの程度なのか、といったリスク評価から始まり、それが発生した場合、災害規模に応じてどのような人材がどのような命令指揮系統の下に、どのようなリソース(資金、物資、インフラなど)を用いて、どの業務をどのように継続するのか、停止するのか、変更するのか、またそれについてどのようにコミュニケーションを図るのか。

 発動フェーズ、業務再開フェーズ、業務回復フェーズ、全面復旧フェーズなどに分けて、どのように各フェーズで業務を停止・変更・進行させ、次のフェーズに移行させていくのか。

 各組織・機関の役割・機能・能力などに合わせて、様々な状況やオプションを考えながら、できるだけ具体的に議論を深め、合意をし、文書として策定していくのである。

 これは会社・企業だけでなく、病院や学校、公共機関などでも有用である。

 多くの組織・機関で緊急時・非常時の対応計画(Contingency planning)は作っているだろうが、このBCPはさらに具体的なタスクやリソースの管理を「見える化」することができ、緊急時のみならず、その後のフェーズでの業務の再開・復旧をどのように行うべきか、管理者や従業員の頭の整理、準備もできるのである。

 はじめから完璧なシナリオ・計画を作ることはできないだろうが、まずは作成しながら議論を進め、見えないものを見える化し、何らかの判断が必要なものにはその基準などに合意し、またオプションを作っていく。さらにシミュレーションをしながら定期的に見直すことで、次第に「実際に使える」BCPに進化させていくのである。