西日本を襲った記録的豪雨で被災した岡山県の民家を掃除するボランティア(写真:UPI/アフロ)

 西日本を襲った平成最大の豪雨災害でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 自分が何か役立つのであれば、日本に一時帰国してボランティアをすることを考えたが、今回は多くのボランティアが現地に駆けつけている様子。私は予定通り、アフリカのモザンビークへの出張を優先することにした。

 日本から遠くアフリカ南部に位置するこの国にも、2000年に集中豪雨と洪水が襲い、700人以上が犠牲になり、40万人以上が家を失い、被災した。

 10年以上の内戦が終わったばかりのこの国に、私は1990年代に3度ほど訪れたことがあるが、インフラは未整備または破壊され、病院は溢れんばかりの患者でごった返していた。

 2000年の集中豪雨も、その被害に加え、その後に被災者に食糧を含めた救援物資が届かず、劣悪な環境下での病気の蔓延、死亡の増加が問題になった。

 私はこれまで、世界の様々な地域で水害の調査や緊急支援に関わってきたが、そこで共通に感じたことがある。

 それは、地震に比べて「予測しやすい」「想定しやすい」災害と言われながら、被災者の立場からは「どうリスクを回避したらよいかわからない」災害でもあったということである。

 たとえば、今回の西日本の豪雨災害でも、土砂災害で被災した地域の多くがハザードマップの危険箇所で、国土地理院の「治水地形分類図」などの情報も加えれば、この豪雨による浸水の危険度などはある程度予測がついたという人もいる。

 もちろん、これまでの記録を塗り替える降雨量で、堤防が決壊・氾濫することは「予測できなかった」「想定外だった」という地域があったのも事実のようである。

 私が訪れた国で最も水害が頻発してきたのはバングラデシュ。この国はガンジス河、ブラマプトラ河、メグナ河の三大河川の下流に位置し、国土の半分は標高7m 以下の低地にある。熱帯モンスーン気候で、巨大サイクロンの通り道でもあるため、災害規模は大きく、過去に10万人以上が死亡した水害が2回も起こっている。

 この国には最近までハザードマップが作られていなかったが、それでも住民は経験上、どの地域が浸水するか、危険があるかはわかっていた。大雨や大規模なサイクロンの到来にあたって、避難を喚起する方法が以前はあまりなかったが、最近ではサイレンや住民参加による様々な方法で警報を発信し避難喚起がなされるようになった。

 それでも問題は、危険はわかっていても、それをどう避ければよいのかわからないことである。

 最近では日本の援助によるサイクロン・シェルターも建設されてきたが、逃げ場のない村も未だに多い。どの時期に、どこに、どのように逃げたらいいのか、全くわからない住民がとても多いのである。