
國井:対談シリーズ第3回のゲストは藤巻亮太さんです。
藤巻:よろしくお願いします。
國井:そもそも僕が藤巻さんのことを初めて知ったのは、2009年の年末に一時帰国したときに見た紅白歌合戦でした。レミオロメンのボーカルで、曲は『粉雪』。
藤巻:初出場の時ですね。
國井:お世辞抜きで、あの曲を聴いた時の衝撃は今でも覚えてますよ。初めて聴いた曲なのに、魂を揺さぶられ、心が震えました。曲自体に魂が宿っている、というか、神がかってると感じましたね。
藤巻:ありがとうございます。
國井:年配の読者の方は藤巻亮太、レミオロメンという名前にピンと来なくても、『粉雪』は聞いたことがあるんじゃないかな。
あ、春にカロリーメイトのCMでも藤巻さんの曲が使われていたそうですね。
藤巻:『3月9日』ですね。
國井:これもいいんだよねえ。
藤巻:ありがとうございます(笑)。
國井:そして、初めて直接お会いしたのが…。
藤巻:2011年、ケニアのナイロビで。登山家の野口健さんと一緒にケニアのサファリなどに行った時でしたね。國井先生の第一印象は、何だかスゲー元気な人がいる、でした(笑)。
國井:当時はソマリアの厳しい環境の中で仕事をしていたので、アドレナリンがずっと出っぱなしでした。
藤巻:いや、時々カラオケなんかも含めて日本で会う時も、変わらずパワフルで。
國井:ハハハ、特にカラオケはアドレナリンが出ますからね(笑)。今回はゆっくり話せるのでうれしいです。いろいろお話を聞かせてください。いつもは亮太さんと呼ぶけど、今日は藤巻さんで。
藤巻:久しぶりにお会いできるのを楽しみにしていました。
ミュージシャンはズルい
國井:ヒマラヤなどの話もおいおい聞かせていただきたいんだけど、まずね、僕としては常々、ミュージシャンはズルい、と思っているんです。
藤巻:…ズルい、ですか…。

國井:いやいや、悪いことをしているという意味じゃなくて。例えば、3分間とか5分間とかの曲で、とても多くの人の心に言葉を届かせて、生き方にまで影響を与えたりするわけじゃないですか。
僕も「誰も置き去りにしない」ための活動をずっと続けてきて、より多くの人にそのことを伝えたい、行動を起こしてほしいと思っているけれど、なかなか難しい。その点、ズルいね、そして羨ましい。心に届く言葉はどのように紡がれるのか、とても興味があります。
藤巻さんが初めて曲を作ったのは、いつですか。
藤巻:大学生の時です。小学校からの同級生と3人でレミオロメンを結成して、曲名は『コンクリート』。
國井:コンクリートって、あのビルとかを作る?
藤巻:工科大学の土木学科に通っていまして、タイトルは適当に付けたものだったのですけど(笑)。何もないところから何かが生まれたという感動はものすごくて、いまだに僕の中で、雷に打たれたように感じたすごい経験は、最初の曲を作った時が一番です。その感動がありすぎて、音楽にのめり込んでいきまして、神社時代に入って…。
國井:神社時代?
藤巻:地元の山梨のすごい田舎にある神社を借りて、そこの母屋をスタジオに改装しまして、1年間ず~っと音楽を。月から金は曲作り、土・日はライブ、それをひたすら。
國井:神社の中で、年中無休の音楽漬け。なるほど、それで楽曲が神がかるんですね(笑)。
藤巻:その時期に割といい曲が生まれて、デビューのきっかけをつかむことができて、2003年にデビューしました。
國井:『粉雪』ができたのは…。
藤巻:2005年、25歳の時です。
國井:どんなふうに作ったんですか。

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