「聞こえないこと」について理解できる教育を

國井:政治家としてどんなことに取り組もうとしているのか、具体的に聞かせてください。

今井:与えていただいた6年間という任期は、一見長いようですが、何かをしっかり形にしていくには、それほど余裕のある時間ではありません。私はいわゆるオールマイティーな政治家ではなくて、特化した政治家になりたいと思っています。

國井:特化する対象は…。

今井:例えば「障がい」のこと。私の息子は聴覚障害があって、彼を育てながら、今の制度には何が足りないのか、どう変えていけばいいのか、議員になる前からいろいろ考える機会がありました。
 しかし、議員になったからと言って、すぐにいろいろ変えられるわけではない。関係する省庁は多岐にわたります。教育に関することは文部科学省、支援サービスについては厚生労働省、障がい者にも様々な情報がしっかり届くよう保障すること…いわゆる情報保障については総務省。そういった様々な課題を一つ一つ、しっかり解決していけるような政治家になりたいと思ってやっています。
 それと沖縄。やはり出身地ですし、様々な課題をどう解決していくか。支持していただいた皆さんの期待に応えたいと思っています。

國井:まず「障がい」について詳しく聞きたいのですが、そういえば以前、息子さんとお会いしたことがあって。

今井:そうそう、國井さんを囲む会に連れて行ったことがありましたね。

國井:すごくいい子ですよね。王子と呼ばれていて。今、小学校の…

今井:いやいや、4月から中学生です。「もう一緒には歩かないですよ」とか大人口調で言われてます(笑)。

國井:ティーンエージャーってね、テンの10歳、イレブンの11歳じゃなくて、サーティーンの13歳から始まるんです。この年頃になると、ぱっと変わるからね。

今井:本当にすね毛とかも濃くなって、何だかすごく切ない(笑)。

國井:僕はすね毛とか生まれつき薄いから、男としてはそれはそれで切ないものでね……。まあ、いいんじゃない。親離れの時期だから(苦笑)。

 改めて「障がい」について。今井さんの以前のインタビューなどを拝見すると「昔は自分も偏見があった」と。

今井:ことさらに差別しようとか、そういうことではなかったのですが、息子を育てながら、いろいろ気づかされることがあって、あぁ、以前の自分はいろいろな偏見に捉われていたんだなと…。

國井:僕はこれまで海外で仕事をしてきて、虐げられた人たち、辺縁に置かれた人たち、貧しい人たちがたくさんいる現実を目の当たりにして、どうやって差別をなくし、偏見をなくしていったらいいのかと、いつも考えながら活動しているんですが、今井さんは具体的にどうしたらいいと思いますか。

今井:私は今、文教委員会での活動に力を入れているのですが、それは「教育がすべてだ」と思ってのことです。
 息子がまだ3歳ほどのときに1年間、保育園に通わせた時期がありました。そこは90%の子が健常者、いわゆる“普通の子ども”たちで、10%が耳が聞こえない子どもたちという構成で。息子は生後6カ月ぐらいから専門機関で聴覚の訓練を受けていたのですが、そこと連携した保育園だったんです。
 先生たちも、耳が聞こえないとはどういうことかとか、補聴器の仕組みだとか、よく理解していて、安心して預けることができました。その保育園での経験から、あぁ、そういうことかと思ったのは、そこに通う子どもたちには、耳が聞こえないことを差別する意識がないんです。先生は、耳が聞こえない子どもたちとの接し方を心得ていて、耳が聞こえる子どもたちも、自然と接し方を身につけていく。

國井:息子さんの様子はどうでしたか?

今井:笑顔が増えて、表情も豊かになって。
 障がいに対する偏見とか差別というのは、知らないがゆえに起きていることなんだなと。日本人ってシャイな性格もあって、例えば車いすの方が困っていても、どうやって手助けしていいのか、声を掛けていいのかが分からないまま、何か溝のようなものを感じて、距離ができてしまう…ということが多いんじゃないのかなと思うんです。
 だからまずは教育上、小さい頃から、いろいろな人がいるんだよということを教えて、接し方なども教える機会を作りながら、交流できる場所をもっともっと増やしたいなと。
 それは保育園なのか幼稚園なのか、あるいは、そういった交流ができるようなスポーツも含め、文化も含め、新たなスペースや施設なのか。いろいろ検討の余地があると思うのですが、とにかくぜひ、皆が笑顔になれる場所を作りたいと思っています。