自ら感染症の危機にさらされたために、支援を始めた民間企業もある。
世界最大手の石油関連企業であるシェブロン(Chevron)は、産油国ナイジェリアやアンゴラなどに工場を有していたが、多くの従業員がエイズで死亡していった。会社を守るため、従業員へのHIV対策を始めたが、同時にグローバルファンドとパートナーシップを組み、それを地域、国全体へと広げ、7カ国にまで拡大していった。寄付総額は60億ドル。
自らが持つ知見をグローバルファンドが支援するプログラムに活かしてくれているパートナーもいる。
武田薬品は人材育成を支援
コカ・コーラは、世界の隅々にまで製品を届ける物流の知見を活かし、タンザニアでは医薬品のサプライチェーン改善に協力してくれた。
アフリカの大手銀行のエコバンク(Ecobank)は、ナイジェリア、セネガル、南スーダンでの事業の財務管理能力強化でパートナーシップを組んでいる。
世界的な保険会社、ミュンヘン再保険(Minich Re)とのパートナーシップでは、脆弱なコミュニティを対象に生命保険、重病保険、生前給付保険、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、保健サービスへのアクセスの改善といったソリューションの提供に取り組んでいる。
エンタープライズアプリケーションソフトウェア大手のSAPとの協力では、事業実施者によるプログラム管理改善のための支援管理用ダッシュボードを6ヵ国で試験的に実施する多国間アプローチを策定した。
ボストン コンサルティング グループ(BCG)、マッキンゼ-&カンパニーなどのコンサルタント会社には、戦略作り、リスク管理、プログラムの質的向上などで、時にプロボノでも協力を得ている。
日本にも、グローバルファンドとの強いパートナーシップで世界的な貢献をしている企業がある。武田薬品である。2010年~2019年の10年間(年間1億円)にわたる協力で、保健医療人材の不足が深刻なアフリカ3カ国で人材育成・強化を支援している。
日本の民間企業には、もっと世界に目を向け、資金的貢献のみならず、製品開発、技術支援などでも大いに貢献して欲しい。
「21世紀型パートナーシップ」にはイノベーションも求められ、実際に推進している。これについては、また別の機会に説明したい。

1ページ目、写真を追加しました。 [2016/02/08 12:00]
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