政府、国際機関、市民社会の力関係を見ると、国によって大きく状況が異なる。

 現地政府の権威や締め付けが強すぎて市民社会は声を上げられない国、現地政府が弱体であるため実質的に国際援助機関が国民の生活を支えている国、市民社会・NGOが活発で発言力も強い国などなど。

 よりよいパートナーシップを構築するには、これらの偏った力関係の国々においても、様々なセクターがいかにバランスよく、公平に議論に加わり、公正に計画や実施に参画していけるかが重要である。

 特に、発言力は弱いが状況を熟知し、実施面でのポテンシャルの高い市民社会や当事者組織が無視されている国・地域が多いので、彼らが公平・公正に参画できるようなプロセス作り、支援をすることが大切である。

一緒に歩きながら歩調を合わせる

 そのためグローバルファンドでは、各CCMの構成や能力などを評価し、それが条件を満たさない場合は様々な介入や支援を行っている。

 それでも、CCMの中で政府の権限が強く、なかなかNGO・市民社会の声が反映されない国、声は反映されながらも、実施段階でのNGO・市民社会の参画が少ない国では、資金受け入れ責任機関を政府とNGOの2本立てにして、現地の市民社会や当事者組織の事業実施・管理能力を高めながら、公的セクターなどとの連携を強めている。

 資金受け入れ責任機関(PR:Principle Recipient)の下には、様々な実施機関(SR:Sub-Recipient)がグローバルファンドの資金を受けているが、これらはCCMを通じて国全体として作成した1つの実施計画書(One plan)、1つの予算計画書(One budget)の下、共通のモニタリング・評価フレーム(One monitoring)を使いながら事業を実施し、最終的には合同の報告をまとめる(One report)。

 もちろん、すべての国が容易にこの「理想の姿」を実現できるわけではない。One planを作るだけでも多くのパートナーの時間と労力を要し、One budgetを合意するまでには組織間、セクター間の対立や軋轢も経験することもある。One monitoringやOne reportも、はじめはどれだけのパートナーが真剣に信頼できるデータや情報を収集し提出するかわからず、パートナー間での質の違いが問題となることも少なくない。

 それでも大切なのは、すべてのパートナーが同じ方向を向いて動き始めること。一緒に考え、一緒に作り、一緒に実施して、一緒に評価する。そのうちに少しずつお互いの考え、お互いの技量、お互いのペースを理解し合い、協調・協働が進んでいく。ばらばらの歩調が、歩いているうちに少しずつ揃っていくようなものである。